今朝の日経新聞2面に「テックは善とは限らない」という見出しでエアビーアンドビーCEOのブライアン・チェスキーさんへのインタビュー記事が掲載されています。
「過去、多くのネット企業はソフトウエアをつくることに集中してきた。いわば『デジタルの庭』で仕事をしているようなもので、何でもおもいつくままにつくることができた。ソフトやテクノロジーが実社会に関係していくとは誰も思ってこなかった」
「だが、過去10年で変化が起きた。」
「だからこそいま僕たちはプロダクトが社会に与える影響について10年前に考えていた以上に責任を持たなければならなくなった。」
自己完結していたサイバー世界がリアル世界を変え始めたのが2010年代です。
この10年間の変化は、僕の見方では、過去300年間続いてきた規格大量生産を基盤とする工業文明(アルビン・トフラーの言うところの「第二の波文明」)を根本的に変容させる動きの前兆です。
テクノロジーは人間もその一部であるところの「世界」(「環境」「文脈」「媒体」…とも呼ばれています)を変える手段ですが、「世界」の一部であるところの「人間」も変えるわけです。
要するに、新しい技術は自分自身も変えるのだということです。
そして、新しい技術・変化に対してはつねに抵抗勢力が生まれます。
18世紀から19世紀初頭の英国で起こったラッダイト運動のようなものです。
でも、ロバート・ライシュ(米国カルフォルニア大学バークレー校公共政策大学院教授、クリントン政権下の労働長官)が言っているように、技術革新を止めることは現実的な選択肢でありません。
例えば、知識基盤型社会に向け日本をリードするサイバーエージェントは、炎上・ネットいじめ・フェイクニュース・社会的分断などの問題を解消・緩和するための研究として、秋葉原ラボでWebサービスが生み出すビッグデータを用いた社会科学研究(計算社会科学)にも取り組んでおり、現在は「ヒトの協調メカニズム [2-4]」、「コミュニケーションと社会構造 [5, 6]」、「仮想世界のソーシャルサポート」の研究をしているそうです。
僕はずっと「デジタル時代のグローバル教育」の開発に取り組んできたので、サイバーエージェントの活動にはいつも関心をもってきました。
昨年3月29日には「春の機械学習祭り」にも参加しました。
技術革新のスピードはより加速し、社会も大きき変わっていきます。
いま求められているのは、新しい技術社会の姿を思い描く「構想力(imagination)」と、そのイメージを実現する「実践力」であると僕は思っています。