あなたのいない世界は、どんなにつまらないことでしょう。
私のいない世界は、きっと何も変わらないことでしょうが。
朝目覚めることすらもがおっくうだったのは久々だ。
死を隣り合わせに感じていても、それを逃れるのに必死だった。
どんなに辛くても、死んではいけないと思っていた。
生きてさえいればどうにでもなると思っていた。
一緒にいて楽しい人といることは幸せだ。
しかし、同時に自分にとって毒にもなりうる。
似たような物を抱えながらも幸せそうにしている彼を、いつしか嫉妬の眼差しで見ている自分がいた。
いつの間にか彼の不幸を願ってしまう自分が余計に嫌いになった。
好きな人には幸せになってほしい。
彼の考えもそうだし、自分もそう思う。
今まで何だかんだ自分が可愛かった私には、初めての感情かもしれない。
それでいても彼の足を引っ張ってしまいたくなる。
もはや葛藤ですらない、私は私の中で完全に分離した。
仮面を被る生活はもう辞めたい。
自分の心を閉ざすことも辞めたい。
彼もそれを肯定してくれた。
それでも仮面も鍵もなくならない。
彼が新しい仮面をくれた。
彼が新しい扉に鍵をかけた。
私はどこへ行っても「私」なのだ。
何者にもなれない私のままだ。
新しい仮面の私は凶暴なのだ。
その皮を剥がされるくらいなら器すらも壊そうとする。
いずれ私そのものを壊してしまうのではないかという勢いだ。
気を抜いたら死んでしまう。
そう訴えても彼は助けてくれない。
誰も助けてくれない。
誰も私のことなんて覚えていない。
誰も、誰もだ。
あんなに偉そうに「死んではいけない」だなんて言っておいて、死のうとしても無視をする。
私が死なないと本気で思っているのだろうか。
例え20年以上成功しなかったことでも、成功すればほんの一瞬だ。
取り返しのつかないことなのだ。
だからこそ成功しなかった。
首に巻いた紐が肌に食い込む。
締め付けられる苦しさよりも、皮膚の痛みが上だった。
どうしてこんなにも痛いのだろう。
一番楽な方法はどんなことなのだろう。
生きている苦しみが死ぬ苦しみを上回ったら人は自ら死ぬのだろう。
けれど、それならば私はとうに死んでいてもおかしくはないのだ。
とっくのとうに壊れているのだ。
生きているのは痛覚だけなのだ。
