「飛龍プロジェクト」というのは、私の所属する模型クラブ「ミリオンウイングス」の中の有志で立ち上げたプロジェクトで、静岡ホビーショーで初公開した空母飛龍の発艦前のシーンを再現したジオラマ模型です。




 このプロジェクトの経緯を紹介していますが、今回は」それぞれのパーツの製作の話です。

まずは、艦橋。
 メンバーのS東さんに作成を依頼しましたが、彼の性格上、不明な点は極力排除して作るという姿勢で、かなり図面や写真を集められて様です。その感想、どれも同じものがない・・・。 結局、記録写真や発表されている図面、果ては、艦橋内の構造物を映画「トラトラトラ」を参考にしたりで、何とか、形にしてくれました。
 プラ板とプラ棒でここまで作るとは、スクラッチモデラ―恐るべしです。



この後、信号灯と艦橋内にLEDを仕込んでもらいました。LEDの電源供給は船体から行いますので、それは、私の仕事となりました。

次に艦体を説明する前に、艦載機のプロペラ駆動方法を説明します。
検討の内容については、前回記載しましたように、次の検討を行いました。

① モーター組み込み:モーターを入れる場合、複数の機体を同時に運用する関係で、頻繁に電池の交換が発生する可能性が高く電池の組み込み運用は論外としました。スペースもないですしね。外部給電の場合、どこから給電するかが問題。主脚に細工することも考察したが、かなり繊細で精度の高い加工が必要ですので、加工精度を確保するのが難しいとして断念しました。

② ワイヤレス給電を検証してみました。
 ワイヤレス給電は、最近のスマホ等に実装されている置くだけで給電できるという仕組みで、最近はかなり一般的になっていています。原理は、コイルに電流を流すと発生する磁場によって別のコイルの反対方向に電流が流れる現象を利用しています。
 使用したのは、秋葉原のAK月電子で販売してるワイヤレス給電キットです。


 なお、これを模型に応用する方法をわかりやすく解説しているYoutubeがありますので興味があったら、見てみてください。
     https://m.youtube.com/watch?v=O5FZAFMkx_E
    
 もっともこれを今回のプロジェクトへの適用は、私の所属する模型クラブの中で、以前から電飾を検討していたH尾さんの発案で、いろいろと検討をお願いしました。彼の報告では、機体の翼端灯に使用することは可能だけど、モーターを回すというのは難しいとのこと。確かにこのコイルでは給電する電力がモーターを回すには足りないみたいです。
③ 磁石駆動: 私自身は電気回路について、あまり詳しくないので、ワイヤレス給電の検討をお願いしている横で、磁石を使ってプロペラを駆動する方法を検討していました。それは、ネオジム磁石という強力な磁石が100均で売っています。そこで、この磁石を対にしたら、片方の回転を非接触で伝えられるのではと考えました。
 そこで作ったのが、プロペラ側として、ハセガワの1/72 97艦攻のプロペラシャフトを加工して、一対の小さい磁石を取り付けました。これを回転子とします。一方、駆動側として、タミヤの楽しい工作シリーズのギヤボックスで減速したシャフトに棒磁石を取り付けたものを作りました。

 まずは、プロペラ側の撹拌子です。カウリング内のセット状況はこの通りです。


  これを機体にセットして、その前で 棒磁石を回してやるとこの通り、回転します。




 次に、この回転する棒磁石の上に機体をおいても、プロペラが回転することが確認できました。


 1機で回ることがわかりましたので、一つのギヤボックスに3個の棒磁石を付けたものを作ってみました。回転状況はこの通りです。


 その上に、3機を置いてみます。この通り、3機一気に回ってくれます。



ここまでできると後は、どれだけの機体を回すのかに応じて、飛行甲板下の駆動用棒磁石を増やすだけです。実際、最終形態は、5機×2列となったわけです。


こういう実験を積み上げて、磁石駆動プロペラ回転システムを作り上げています。


さて、今回はここまでにします。次回は、翼端灯を点灯させたワイヤレス給電の回路についてお話しします。





それでは、気が向いたらまたお付き合いください。