<妙なるたわ言(20)「アダルトとフェチ」について>



 タイトルからエロティックな内容をご想像された方々へのご期待には、残念ながら添えない。もっとユニバーサルに迫りたいと思う。どこがじゃ。


 このところ、「タブー」「アダルト」「フェチ」などと、妙に色っぽい話題がつづくが、筆者の実直で純真な人柄から、どうにも品格のある一文となってしまう点を、どうかお許し願いたい。どこがじゃ。



 「どうせベンツに乗るなら、S500じゃなきゃ意味がないわ」


 豪語するS子さんは、事実高級車を乗りまわしている。


 そんな彼女が、ある日ドバイへの旅行を思い立った。


 「ドバイへ行くなら、このホテルじゃなきゃ意味がないらしいわ」


 あいにくその一流ホテルの予約がいっぱいだったため、あっさり彼女はドバイへの旅を断念した。


 一見鼻持ちならない感じだが、こういう考え方は大事で、ある意味正しい。中途半端が性に合わない彼女は、日頃の努力を怠らない。積極的でバイタイリティーあふれる、攻めの姿勢だ。


 大人の女は、ある程度の見栄は張るべきだ。



 「ニューヨークで泊まったホテルが、麻薬中毒患者の巣くつで、刺激があっておもしろかったわ」


 回想するM子さんは、見るからに自慢げだった。


 「格安の予算で、すごくトクしちゃったわ」


 一見旅慣れた感じだが、こういう考え方は危険きわまりなく、旅の情緒とは言いがたい。徹底して出費を抑えるのが信条の彼女は、日頃の倹約を怠らない。消極的で味気ない、守りの姿勢だ。


 大人の女は、ある種の意地は持つべきだ。


 大人は、危険を察知して避けるべきだ。



 年齢がいっている方が掛け金の安い保険は、自動車保険ぐらいだろう。通常30歳を過ぎた人は、無茶な運転はしないと見なされている。


 君子は、危うきには近寄らない。


 もみじマークの君子の保険料は、どうなっているのだろうか?



 聖人君子も、成人向け映画は観ることだろう。いったい「アダルト」は、いつからえげつない意味合いに貶められたのか。成熟した女としては、嘆かわしい限りである。



 「フェチ」なる言葉も横行している。「フェティシズム」の略で、もとは石や木などを神聖化し、崇拝すること、と辞書にはある。呪物的な崇拝。または異性の身につけているものや髪の毛に、性的欲求と快感を求める。


 つつましく、「マニア」でいいじゃない。



 「アリー マイ ラブ」という、海外ドラマがある。登場人物の弁護士のひとりが、「たるみフェチ」だ。女性のあごのたるみや、二の腕のたるみに弱い。ほら、「マニアック」じゃない。


 「おっぱいフェチ」は、言うに及ばない。男なら誰でもそうだからだ。先天性かつ後天的、「バストフェチ」の男たち。自分たちにはないものへの憧れ。こういうのは、「ノーマル」と言う。女だって、おっぱいは大好きだ。


 赤ちゃんの頃、誰でも一度はお世話になる、命の元。誰でも一度は口にする、命の糧。すべてはそこから始まる、最初のコミュニケーション。


 男と女のヌードがあれば、まず女の方を見る。なぜなら率直に、美しいからだ。胸がわざわざ出っ張っているのが不思議だ。やたらと柔らかいのも不思議だ。おちちの三重の○(まる)から成る形状も、感性に訴える。比類なきアートかな。


 化粧品や香水のボトルには、男女の体の一部がデザインされていることが多く、潜在意識を喚起するのか、よく売れるという。サブリミナルによる効果だろうか。いずれにしろオッパイは、みんなの人気の的だ。


 たしか映画の「ダーティーダンシング」では、「胸は揺らすためにあるのよ」とか言っていた。揺れるほど大きいとは限らない悲哀がある。



 昨今は、「眼鏡フェチ」の女性が増えているらしい。聞いた範囲では、「無条件にカッコいいから」、「インテリっぽいから」だそうだ。


 眼鏡をかけているだけで、賢そうに見える。それだけで切れる男みたいな、無責任な錯覚を与える。すぐにキレるのとは、また別の話だ。勉強をし過ぎたあげくに、視力を犠牲にしてしまったのだと印象づける。眼鏡の件だけに、実情は度外視だ。単なる老眼というのもある。とにかく眼鏡の奥の目がキラリとでも光れば、気を失いそうになるという。そんなものだろうか。


 「巨人の星」の左門豊作が、ろうそくの灯りで勉強したために、黒ぶち眼鏡を使用するに至った経緯もある。彼の目がキラリと光っても、失神するだろうか。やはり何事においても、個人差は大きい。テレビアニメでは、しょっちゅう光っていた。というよりは、炎に燃えていた。今日(こんにち)の少女漫画に、眼鏡をかけたキャラクターが多いのは、今時の女性心理が反映されている。


 眼鏡をはずした時の、表情の変化の意外性。別人を思わせる新鮮さ。いつの間にやら、自分の意見になっている。



 男性諸君。モテたいのなら、ただちに眼鏡屋さんへ走るべきだ。すでにかけているなら、すまないがあきらめてくれ。



 ではおしまいに、本日の一句。


 「アダルトは ビデオにかかる 枕詞じゃなし」 返句。 「フェティシズム アブノーマルとは いい仲か」


 次回もヨロピクピク。



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