同時進行的に進む物語をパズル的に紐解いてゆく楽しさ  ザッピングシステムと言っても,最近の若いゲーマーにはピンと来ない人も多いかもしれない。「一時期はかなり流行ったシステムなんだけど」などと語り出すのは,もはやおっさんゲーマーの証なのだろうか?  とにかく,システムの名称の語源ともなっている「ZAPPING」とは,テレビのチャンネルなどをリモコンで切り替えたり,早送りしたり巻き戻したりという意味の言葉である。  本作のストーリーラインは,「タイムチャート」と呼ばれる時系列順のシナリオチャートで表現される。このタイムチャートは,主人公ごとに一つのラインが用意されており,つまり5人の物語が同時進行している場面では,五つのチャートが画面上で並列を成すわけだ。  プレイヤーは,このタイムチャートを切り替えながら,渋谷の街を闊歩する主人公達を操作していく。まるでテレビのチャンネルを切り替えるが如く,同時刻のそれぞれの主人公達の視点に切り替えられる。誰が名付けたのかは知らないが,ザッピングシステムとはよく言ったものだ。  さらにこのザッピングシステムをうまく利用し,また分かりやすく表現したのが,本作の「KEEP OUT」と「JUMP」というシステムだ。  これは,一人の主人公の物語を進めていると途中で「KEEP OUT」と表示され,ほかの主人公による“干渉”を待たないと先に進めなくなるシステムだ。例えば,加納のタイムチャート上で「KEEP OUT」が発生したら,亜智の行動によって,加納の「KEEP OUT」を解除させないと先に進めない,などがその実例だ。  ちなみに「KEEP OUT」を解除するには,ほかの主人公のストーリーからキッカケとなる“キーワード”を探し出して,そのキーワードから「KEEP OUT」されたタイムエリアにジャンプする必要がある。これが文字通り「JUMP」というシステムになる。……まぁなんだ,言葉では非常に説明しづらいので,どんな雰囲気かは下記のムービーを参照してほしい。  ともあれ,この「KEEP OUT」という仕組みがあることによって,ファイターズクラブ RMT,プレイヤーは,各主人公を小刻みにプレイしていくこととなり,プライドオブソウル RMT,これがまた“同時進行的に事件が発生している”という臨場感を生む効果に繋がる。  ただテキストを読み進めていく「サウンドノベル」というジャンルでありながらも,本作が“ゲームとして過不足ない体裁”を保っているのも,ひとえにこのザッピングシステムがあるからだといえる
関連トピック記事: