私が小学生のころ、全校生徒にいじめられてる女の子がいました。
その子とずっと同じクラスでしたが、男子のからかいは半端なく、容赦ないものでした。
その子の名前はKK、何十年たっても忘れません。きっとその名前をいったら、わかる人がいるんじゃないかな。と思うくらい。

男子のからかいかたは、ばいきん、といってその子がさわったものを触っては、他の人にタッチしていくというもの、タッチされたこはきたない、といってまた別の人にタッチしていくといったものです。
あいつの机の裏には、あいつが鼻くそをくっつけてるんだぜ。きたない。
なんていってました。
でも、彼女も負けてません。
なによ!といじめっこを追いかけ、追いかけられた男子はわーっと逃げ回り、といったふうでした。

こんどは、その、なによっていうのをまねする男子が現れ、いちにっさん、なによ!が学校中ではやりました。
学年があがり、新入生がはいってくると、その一年坊主たちが、わざわざ上級生の彼女をからかいにやってくるのです。
それは私達が卒業するまでつづきました。

女子は、そんなふうにからかったりはしてなかったけど、そのやりとりを楽しんでいるようなところはありました。でもたったひとりHKさんだけはいつも、やめなさいよ!!と彼女の味方をし、かばっていました。
わたし?私は他の女子と同様、気が向いた時は、やりすぎの男子にやめなさいよ、というけど、あとはほっときというスタンスでした。部活もソフトボールで、彼女と同じでしたが誰も彼女をいじめたらからかったりするこはいなくて普通にチームメイトでした。
彼女も心が強かったんですかね、それが理由で学校に来ないなんてことありませんでした。

今考えるとなんて残酷なことしてたんだって思う。
中学にはいってから私は転校してしまい、彼女のことはすっかり忘れてしまってました。

ある日ふとみた新聞に大学合格者の名前が発表されてました。
個人情報にうるさい今じゃ考えられないことかもしれませんが。
ある国立大学の合格者欄に、KKという名を見つけたのです。偶然同じ名前の人?でも私には彼女のことのように思えてなりません。

クラスでいじめにあってる人の話はよくきくけど、全校生徒からいじめにあってるひとなんてきいたことないでしょ。

あの名前は彼女であってほしいし、なんか彼女のような気がします。

あのとき、彼女はどんな気持ちで学校に通ってたんでしょうか。

書いてて思い出しました。修学旅行の時の班分けで、彼女と同じ班になりませんように、と祈ったこと、同じ班になってあーあ、と思ったこと。
勿論心の中でこっそり思ってただけで、口にはだしてません。同じ班で仲間外れにしたりもありません。

あのころあれがいじめだという認識はありました。でも先生になんかいわれた記憶はないし、問題になった記憶もありません。おとな達も何も言わなかった。

残酷でしたね。
なぜあのとき、彼女の痛みをわからなかったんだろう。なんでいつも味方にならかったんだろう。大人になったいまならもう少し人の痛みがわかる。

でも、ものをとったり、犯罪を強要したりはなかったよ。

KKさん、今はしあわせですか?