わずか3つのコードで演奏されるブルースは、
恐ろしく敷居の低い音楽だ。
3日もあれば初心者でもコードを弾きながら
歌うことぐらいできるようになる。
しかし、「できる」ということと「聴かせる」ということは
まったく別だ。
誰にでもできるからこそ、聴かせる演奏をするためには
人一倍の努力を要する。
ブルースとは敷居が低いくせに、ゴールは果てしなく遠い音楽だ。
だから一生の趣味になる。
僕が二十年以上ブルースを聞き続けても飽きないのは
そういうことなんだと思う。
曲自体が単純であるために、演者の個性がモロに出るのも
ブルースの魅力だろう。
華麗なギターソロで泣かせるブルースマンがいる。
ソロなど弾かずに、コードだけで聴衆を躍らせるブルースマンがいる。
天地が裂けんばかりの歌声で歌うブルースウーマンもいれば、
甘く囁くような声で歌うブルースウーマンもいる。
そして、誰も思いつかないような変化球を投げるものもいる。
誰も使わない楽器を使う
洗濯板をこすりながら歌う人がいます。
コード進行や小節数を無視する
13小節や19小節等、ありえない進行をする人がいます。
無駄に豪華に演奏する
長いリムジンに牛の角をつけて走る変態地方テキサスでは、
バンドメンバーは多ければ多いほど良しとされました。
あえて汚い音を出す
日本製の安ギターが人気のようです。
少しはブルースに興味を持ってもらえただろうか。
また機会があれば、スタイル別におすすめのCDなどを紹介します。