「不憫すぎる男子の物語 第3話」

 

主人公のブラックR子

それは超絶美人で超ブラックな女性。

日本語で言えば、真っ黒R子。

この物語は、そんな彼女と一瞬でも人生を交錯させた男子達の悲しいラブストーリーである。

 

いたいけな男子達の悲劇が無くなる事を祈り、 

また、既に被害にあった男子へのレクイエムとしてここに記す。

 

「第3話  R子最終形 第2次結婚未遂編」 

嶋との一件以来、周りの全ての人、近所の爺ちゃん、婆ちゃん、小学生、ガソリンスタンドの兄ちゃ ん迄、いや全人類が願っていた。 

「少しだけで良い、R子に全うな人間になって欲しい‥」 

 

三毛猫のミーちゃんでさえも「ニャンとかニャランかニャー?」 

皆のわずかな願いが打ち砕かれるのに、そー長い時間は必要なかった。 

 

その頃、中尾という男子がR子の前に現れた。 

それは、彼女が30代半ばのブイブイ言わせていた頃である。 

「あら、ちょっと良い男❤️」

又だ。又悪い癖が出た。

 

 中尾は最初、彼女の毒舌に面食らった。

 言いたい事言う女だな。 

しかし、中尾はちょっとは出来る男子である。 

年齢とともに経験を積み、この手の女の裏を見る事が出来る。 

「簡単にだまされへんわ」自信があった...はずだった。

 

R子はその頃、新しい男を捜していた。 

中尾は好みだし、格好の餌食。 

R子が軽い気持ちで声を掛けると、

 中尾は落ちた‥瞬殺だった。

 

中尾の家は資産家だった。 

若い頃からモテモテ、引く手数多だった中尾。

 何を血迷ったか、R子に夢中になってしまった。

 寝てもさめても彼女の事を想い、アタックを続けた。 

しかし、これが彼女の手であることにまだ中尾は気付いていなかった。

 

男の気持ちを知りつつも、

R子の「上げてー落とす」土壇場、手の平返し爆弾を‥

 

そんな強引に迫る中尾にR子もまんざらではなかった。 

「私、もてるしーどうしよっかなー❤️」などと、たわけな思いで一杯だった。 

 

中尾の強引なアプローチに、押される形で交際がスタート。

有頂天だった。

自信満々だった。

「結婚しよう」

地雷を踏んだ、自殺行為である、止めるんだー中尾。

 

ただ、一抹の不安も感じている中尾。

夜が無かったのだ。
なんだかんだと言い訳を繕い、逃げるR子。 

「きっと、彼女は身持ちが固い家庭的なタイプなんだ」 

恋は盲目‥中尾。

そんな事有る訳無いでしょ‥

 

R子は押される形で「結婚?マッいいっか。オッケー❤️」

(も〜さ〜、いい加減自分の事わかろうよ、どうせ別れるんでしょ) 

 

しかし、この時R子の悪い癖がもぞもぞ動き出していたのだ。

知る由もない中尾、飛んで火にいる夏の虫の中尾...

 

例えれば、男子がお風呂に入ってきれいきれいになったのに、 

「今日あの日だからムリ~❤️」とか言って帰る女。 

この世には、神も仏もいないのか〜

 

中尾は自信満々の男だ。 

彼女は自分について来てくれると確信していた。

結婚後に住む家の設計も二人で考えた。 

ここは子供部屋よ、ここは二人の部屋、

幸せの絶頂だった。 

 

この時、R子は重大な秘密を隠していた。

既に新しい男子がいたのである。 

全てが結婚という方向に動き出した時、 

彼女はあろうことか、一人別方向に向かって歩き出していたのだ。 

 

男子の名前は横山。

またまたイケメンである。

R子の一目惚れだった。

目の前を通り過ぎようとした横山を、パクッといっちゃったのだ。 

 

特に夜はテクニシャン。
溺れるR子。 

ここに完成したのだ。

ブラックR子最終形が。 

 

それでも中尾との結婚を前提に両親とも会い、 うまく行くと思ったやさき、 とうとう事件は起きた。 

その時がやってきた。機は熟してしまった‥

それは、家の新築契約の当日、
中尾が幸福感に浸っていたその瞬間、

 「もー、結婚ムリ〜」

家の新築契約破棄、結婚破棄、がらがらと崩れ落ちる夢のかけら... 

 

エクスタシーに酔いしれ、濡れていたR子‥

彼女は一切の迷いも無く、最後に中尾に言放った。

「おつかれさま〜❤️」

 

男の気持ちを知りつつも、

R子の「上げてー落とす」土壇場、手の平返し爆弾が、炸裂した瞬間だった。

 

今の時代、これは裁判沙汰になるであろう。

しかし、中尾は彼女を訴える事はなかった。

それは、彼女の幸せを願っていたから‥では無く、あまりの恐怖に2度と関わりたくないと‥

 

その後、中尾は約3年に渡り車椅子での長き闘病生活を終え、 家業を継ぎ、現在は順調に業績を伸ばしていた。 

家庭も持ち幸せに暮らしていた。 

誰もが心の傷が癒えたと思った、あれは過去の話だと‥

しかし、ちょっと気を許すと、腰カックンにはなるが‥

 

私はただ、彼の発作が起きない事を祈るのみだ。 

人々はこれを「ブラックR子腰カックン」と呼び恐れ続けた。 

 

不憫な男子に幸多からん事を‥涙

 

一方、横山のその後であるが、

人づてに聞いた話では、

R子の「上げてー落とす」土壇場、手の平返し爆弾にズタボロになったらしい。 

ここにも被害者が‥

この時点での被害者総数は452名を数えた。