その夜、私が彼を連れていったのは結局チェーン店の居酒屋だった。
飲みに行くつもりはなかったけれど時間も時間だし、
何より初対面の人、しかもネットで知り合った異性、
お酒でも入ってなきゃやってらんない、もうやけ。
シャレた地元のお店なんて、いったことないのだもの、
あまり気取りすぎても引かれることが怖かったこともある。
ここでいいや。
『じゃあ、乾杯』
『はい!か乾杯…』
一口飲みながら彼の横顔を盗み見た。
本当にこの人、私より歳上…?そんなこと思いながら、
ふと目が合って、
『あっ…私人生初オフ会です!記念にみんなにも報告しよー!』
いそいそと携帯をいじる私。
私の報告に敏感に反応するコミュニティのみんな。
その反応を楽しみながら彼とはコミュニティのみんなのこと、趣味の話、次々と運ばれる料理の感想、話題が尽きることは無かった。
『あ、そろそろ時間?』
『ああ!そう、ですね…あじゃあ、ちょっとトイレに…!』
『うん、いってらっしゃい』
うわあ、ちょっと酔いすぎてなんかふわふわするなあ、そんなことトイレで考えていた。
席に戻ると彼がどこか、あたふたしていた。
『お待たせいたしましたっ!』
『あっ!!う、うん、大丈夫、大丈夫』
ん?なにか、あったのかな?
緊張しすぎて飲みすぎた私に引いてる!?引いている!?
という心配を、素敵に裏切ったのが彼だった。