歌舞伎座さよなら公演・六月大歌舞伎(昼の部)を観て来た。

演目は以下のとおり。

「正札附根元草摺」

「双蝶々曲輪日記」

「蝶の道行」

「女殺油地獄」(片岡仁左衛門 一世一代にて相勤め申し候)

いずれもなかなかの演目であった。

しかし何といっても、仁左衛門の河内屋与兵衛に尽きる。

1時間50分の熱演。

climaxの豊嶋島屋お吉(孝太郎)との油まみれでの絡みは、観ていて時間を忘れた。

はまり役とはこのことだろう。

まさに、追い詰められた際の狂気。

この前の場面で、与兵衛に対する親の愛情が描かれるだけに、余計にironyが効いている。

迫真の演技は会場を支配し、水を打ったように静かだった。

一世一代。

看板に偽りなし。