「滝沢君を囲む会」に出席してきた。

立食スタイルのパーティ形式かと思っていたら、テーブルが配され、席まで決まっている。

結婚式の披露宴のようだ。

メンバー表に目をやると、往年の名選手から現役選手まで、ものすごい顔ぶれだ。

会の終盤、滝沢から奥さんへ花束が渡された。

奥さんは感極まり、泣きじゃくっていた。

これだけの選手の現役時代を支え続けるには、おそらく相当の苦労を強いられたことだろう。

滝沢はひたすらに照れて、ハンカチで顔の汗を拭いていた。

これからは、伊東の競輪学校で、教官として若者たちを指導する。

流れるような喋りで仕切っていた中野浩一の言葉。

「今の選手は効率よく練習しようとする。滝沢君には、自転車に(量を)乗った奴が強いんだ、ということをよく教え込んでほしい。先行で一番強かったのは、滝沢君だった。」

最後に、滝沢と握手をしてきた。

大きな手である。

夢を掴んだ、日本一の手だと思った。