最近テレビではよいサスペンスがないなぁと感じていたので、DVDを探して
ガツンとやられた。
 
 宮部みゆきの作品は、犯人も被害者もすべての人の感情や状況の深淵を描いているので、
読後に滓のように暗い感情がのこるのだが、ドラマでもそれを細かく描写していて、
見た後はズーンと重くなってしまい参った

 特に「長い長い殺人」の大森南朋演じる教師が、犯人を小さい頃から友人と信じていた
のに、その嘘で騙されていたとわかるシーンや、かばっていた教え子に裏切られる様子
は、人間のエゴをそのまま映していて悲しいというより、哀れだった。

 「理由」は原作を読んでいないが、競売ブームの時代にはよくあった占有屋などの
からんだ危ないありそうな話で、人間の孤独と欲が結果的に殺人にまで行ってしまう様子が
描かれている。

 「理由」では監督が大林宣彦だから、少しセンチメンタルになりすぎたきらいがあるし
場面が冗長になり間延びしてしまったようだが、どちらの作品も実力派の俳優をそろえて
見ごたえがあった。
 
 テレビではあまり予算をかけられなくなった時代に、良質のサスペンスを制作する
WOWWOWにはこれからも期待したい。