<51回>

 「パパ遅い~ミカ待って、まってしているのに~」

 正人さんと病室に入ると、べットに腰掛けて足をぶらぶらさせているミカちゃんがふくれっ面して怒ります。

 矢張りです。でも不思議です。ミカちゃんは正人さんに怒りながら私には笑みみせるのです。

 「ごめんよミカ~ママに家に来てくれる相談していたんだ。明日はミカが退院するのをママは家まで付き合ってくれるし、来週おばあちゃんがくるまでママは毎日来てくれることになったのだよ」

 「ほんとママ?ほんとに家に来てくれるの?」

 「はい行きますよ。今日はママもミカちゃんと一諸に病院でお泊りして、明日はミカちゃんのお家に一諸に帰りましょう」

 「じゃママ、ママはミカのお家にずぅ~と居てくれるの?」

 「いいえ、それはダメなの。ママもお家があるから帰らなければいけないの」

 「なんだ~居ればいいのに~」

 「でも今週はず~とミカちゃんのお家に来ますからね」

 「ミカ無理言わない。おばあちゃんがママはまだ娘さんだから家に泊めてはだめだと言っているんだから」

 正人さんがそばからなだめるのに、ミカちゃんは首を振ります。

 「ぱぱ、ママは娘でなくママだよ。だから泊めてもいいの」

 「そんな無理言うとママがこれなくなってもいいのか?少しの間だから辛抱しなさい。ママと一諸に住めるようになるから」

 「わかった~辛抱する」

 二人のやり取り聞いていて、私は驚きです。

 いえ、ミカちゃんの成長ぶりに驚いたのです。

 

 阪急に向かう陸橋で私がミカちゃんに会ったとき、幼子のミカちゃんでした。それが今はこましゃくれた娘に変貌しているのです。なにがそうさせたのか?今、私はその役目を担ったのは自分だと気が付きだしていました。

 

 そして私もまた正人さんに会うことで、そして<愛している>告げられたことで、娘だった私が、いっきょに女性に、そして母親になろうとしているのです。

 

 その日病院で居てもミカちゃんはご機嫌でした。

 私がミカちゃんのべっトの横に簡易ベットを置いてもらって、並んで一夜を過ごしたからです。

 ミカちゃんはすごく興奮して私とのおしゃべりに夢中で、寝てくれませんでした。

  そして私も夢中に母親役演じて、ミカちゃんを寝かすのも忘れていました。

 

 あくる日正人さんは勤めで、私はミカちゃんのママというより、お姉さんの子守みたいになって、正人さんが帰って交代するまでミカちゃんと過ごしたものです。

 

 ミカちゃんと二人で作った夕食を、三人で食べて帰るのは家でなく何時もの行先の女装クラブでした。

 由美さんや優子さんさんに事の次第を報告するためです。

 

  二人とも私の連絡を聞いていてもさすがに驚きました。

「ええ、あきさんが女装子と知っていたの?」

優子さんが声上げると、

「どうして知っていたのだろう?あきさんは絶対ばれることないはずなのに?」

 由美さんも首傾げます。

 好奇心の塊になった二人に根ほり聞かれると、すべてしやベらされてしまいます。

「キッスしたらわかったとか正人さんは言ったけど?」

「ええ~~どんなキッス?キッスだっていろいろあるでしょう?」

「そんな~恥ずかしいこと言えません」

「言わないと、なぜ正人さんがあきさんが女装子と知ったのか?わからないままよ」

「だから抱きしめたら分かったみたい?」

 途端に二人は笑い出したのです。それも腹を抱えて((´∀`))ケラケラそれです。

 なぜ可笑しいのか、きょとんとしている私に指さして笑うのですから、腹が立ってきます。

「どうしておかしいののよ~」

 むきになって怒ったら、やっと笑いが収まった由美さんが、私の腰のあたりをポンポンとたたいて言うのです。

「あのね、その時のこと思い出してごらん、キッスされて興奮して体を押し付けられた?いえ、貴女が押し付けたのでしょう?そしたら貴女のオトコが立ち上がったのだから、夏の衣装だものすぐ気ずかれたのよ」

 笑いながらの由美さんの解説に恥ずかしさに真っ赤になって~

 「もういい~笑わないで~」叫んで顔に手を当てていました。

<続く>