男と女どちらが私?㉒

 メイク室でメイクしていると、当然ですが、女装のフレンドさんが男から女に変身していくのを見られるのです。変身なのは確かなのだけど、女性に変わった姿を見ると元の男性の姿を思い浮かべることできません。まるで別人です。

 どう見ても女性そのもの?男性の姿思い浮かべることできないのです。

 鏡を通して映ってがいる女装さんのメイクの様子を見ているのですが、男性から刻々と女性の顔に変化していくメイクの様子を見ているのに、私は元の男性の女装顔が別人と思ってしまうのです。

 私が感嘆の声上げると女装さんは笑うのです。

「とくみさん貴女だって同じよ~メンズの顔からメイクしたらまるで別人~どう見ても女性にしか見えないものね」

「それはスタジオの先生の魔法のメイクのおかげですよ」

「まあ、それはそうだけど、でも貴女は小顔で体型もほっそりしているから女としか見えないもの~私なんか背は高いし肩はがっちり、手も足も大きいし男そのものの体型で嫌になる~」

 ため息つく女装さんですが、それが女装すると女性そのものに見せるのですから凄いのです。

 なにがそう見せるのか?たしかに手、肩、足と一か所づつ順次上から下に見ていくと確かにたくましい男性の体付きです。なのに体全体の女装姿を見ていると、女性に見えるから不思議です。

 女装さん好きで<私も綺麗になりたい~>と女装の道に入ったわたしですが、自分も女装しながら私にはそれが謎なのです。

 でも、少し分かってきたことがあります。それは<仕草>または<所作>です。女性のもつ体の動かし方、所作が自然な感じででtれ、それがみるものに女性と感じさせるのです。手足の動かし方~仕草が女性の持つ仕草なのです。そして声~これが低音と高温二手に分かれているけど、どちらも男性と違う女性の音域でのしゃべり方をされます。

 普通、女性を強調するあまり、女になるという気持ちが、わざとらしさを醸し出すものなのですが、それがなくて自然な感じで女性になっているのです。

 ここまでくると気持ち的には<私は女性>自分はおんなと思っています。その思いが女らしさを作り出している背景になっていると私は理解しているのです。

 逆のことで考えることがあります。電車に乗ってスマホいじったり、扉のふちで立っている女性。気づかれないよう私はそれとなく観察します。

 それが服装なのですが、女性の服装が男性的になっていると思うべきか?。スカートよりパンツが圧倒的に多くなってきているのです。ブラウスとかスカーなど服装の色鮮やかさが、おしゃれが女性のに美しさと思い込んでいる私には今の女性の服装はお門違いに見えてしまいます。

 多分、おしゃれより活動的、機能的な服装を選んできているということでしょうか?だから当然男性の服装に近づいてきているのか?私の勝手解釈かも知れないけどね。

 もうひとつ気づいたことがあります。男性の服装です。昔は外出は背広が普通の服装でしたが、今や黒服が会社の制服と見えて目立つのです。カラフル、細いズボン、なにか女性的な服装に見えてしまいます。

 男女逆転?そんな気分が私には浮かぶのですが?どうなのでしょうか?

 電車のなかで私が好奇心持ったことあります。男性か?女性か?私には判別できない人を良く見かけるのです。

 服装は男性的なんだけど、顔付は女性のよう?皮膚がつやつや、肩も滑らか~髪は長く伸びて女性的~でも、女装さんを見慣れている私には、そんなタイプの方よく見ていますから、女性と判断できないのです。

 特急電車の中で10分~その判断に思い悩みました。電車ではスマホ見るよりこんな視線走らしているほうがよほど退屈しのぎです。

 答えはその女性が電車を降りる後ろ姿で見つけました。ふくらみのあるヒップがかすかだけど左右に揺れるのを見て女性と判断できたのです。なにかこれからは男性も女性も見分けがつかない時代になるのでは?そんなこと思うのですが~

 90歳にもなって、まだこんな好奇心持つのは我ながら恥ずかしいけど、矢張、女装をしているせいでしょうか?

人様のことより私のことでした。

 今は私のマネージャで、メイクと写真家でもある私の先生の、私が呼び名にしている通称<女将さん>から私は5年前素敵なメイクの贈り物をもらったのです。

 きっかけは、フレンドさんのお勧めで<女将さんにメイクして貰いなさい>言われてその気になったのですがフレンドさん曰く、

「女将さんのメイクでウイッグ被った瞬間、違う自分が現れるのよ~」

 その言葉に引かれた私~まさか?半信半疑でいても好奇心に勝てず~女将さんにメイクしてもらったのが女装のめりこみになったのです。

 メイクが終わって鏡見て叫んだものです。「ええ~これが私?」

 そうしたら女将さん「とくみ さんは小顔だから、次の時は着物にしますね。メイクも八千草 薫に似せてしますよ」

 まさか?言われても私にはありえないこと~思う気持ちの半面、女将さんが断言するのだからひょっとしたらそうかも?揺れ動く想いいのなかで、鏡の女の顔になった私を見つめて八千草 薫になれるかも?だんだんと気持ちが動いていくのです。

 

 後日、初めての着物姿になって、すっかり舞い上がった私です。私、着物が似合うのです。着物オンリーのフレンドさんが言うのです。

 「とくみさん、着物姿はイコール女~というイメージがあるから、その思い込みで女と思われるのよ」

 たしかにそうです。着物姿で鏡見たらそこには女性そのものの私がいるのです。

 そして八千草 薫似ていると、女装さんだけでなく、私の写真みて男性の方までメールを頂いたのです。

 この連載記事に恥ずかしげもなく、90歳の写真のフアッションショーをするのも、そんないきさつからかも知れません。

 とにかく女将さんに撮影された写真は、600枚ぐらいあるのですよ。

 美人だからではありません。90歳の女装に希少価値があるからなのです。<続く>