<2020年9月カラオケスナックで>数え90歳
⑱ カミングアウト
先日、スタジオからの帰りの道中なのですけど。電車の優先座席に座ったときのことなのです。
コロナの渦中ですから座席の一人占めで座っていたら、向かいの座席に年配のご婦人が矢張り一人占めで座って私と向かいあったのです。
それが何気なく視線が合ったのです。するとじっ~と見つめられたのです。これは私にはよくあることです。おば様だけでなく若い娘さんでもあります。でも気が付いたのはマスクしていないときなのです。忘れん坊の私はマスクつけないで電車に乗ることあるのです。すると咎めたての視線を向けられるということ。
じ~と視線娘さんに向けられると、なにか怖い感じで<男とばれた?>思ったものです。
でも、このご婦人の時は私はマスクしているのですから、それで視線向けられているのではなさそうです。それなら~負けずに私も視線返すとつと~目そらされるのです。
それを何度か繰り返しているうちに私は婦人の表情に戸惑いがあるのに気付いたのです。難聴の私は言葉が理解できないときは相手の表情や目つきで何を考えているのかわかるのです。
<私が男か女か?を見定めようとしている?>ぴん!ときたのです。
そんな状態のまま電車に揺られて~丁度私の下車駅です。まだ動いているけど私は婦人に見せつけるように立ち上がり、正面と横が見えるようにしたのです。ちら~と婦人の様子伺います?
そしたらご婦人かすかにうなずかれたのです。納得した顔付です。<私を女と見てくれた>やった!そんな気持ちがあふれてきます。そうなのです、顔がダメなら体の見てくれで~その思惑が当たったのです。
なんでもない話ですが、じつは女装で一番の女装さん達の悩みは体系なのです。特に後ろ姿~肩幅があります。ヒップが膨らんでない。背が高い~などなど~女性~特におば様方の視線はすぐに見破るのです。
でも背が高くても細身の体、細い脚、それに美人が多いのです。背が高くても女性と見間違います。
私の場合は戦争体験のある唯一の女装として、戦争中の食糧難で栄養失調による成長が止まり、戦後大きくなりたい~運動して頑張って背は高くなったけど、骨組みができずモヤシのようにのびただけで細身の体になったのです。
そのためメンズでいても女性と間違えられるというわけ~。
まあ、90になっても女性と見られるのは戦争の後遺症というべきでしょうか?
でも道歩いていても矢張りおば様方の女を見る目~怖いです。女装を見破る目つきです。でも私の場合は功を経たせいか?女装に自信ができたせいか?堂々としているからでしょうか?、道ですれ合う女性の方に視線向けられることないのです。
JRやメトロの女性専用車にわざとではないけど乗ることもあります。すると両側に女の方が肩触れんばかりに座るのですよ。こちらが恥ずかしくなって肩すぼめます。
発車間際に男性が飛び込んでくることがあります。女性専用車と気づかずにね、扉が閉まってから気が付くんです。一斉に車内の女性の視線向けられて、ドアの扉の手すりにすがりついています。
ええ、私も女性方と一諸に男性に視線向けて睨みつけています。私も女性ですからね<(*`艸´)ウシシシ>
次の駅に着いたら男性とびだしていきましたよ~。
電車に良く「痴漢は犯罪です」ポスターありますね。でも私の場合不思議と満員電車に乗ってもまだ被害にあっていません。
まあ、90の妖怪ですからね。でも、道歩いていてまとわりつかれたことあります。中年の方で私の横に歩いてきて「お茶でもどう~」横に並んで言うのです。私、可笑しくなって~<女だって思っている~>
「私、男ですけど~」言ったら~「いいよ~」だって~もう、呆れます。女でも、男でもいいなんて~変態ですよネ。
ああ、私、そんな言う資格ないかも?
それからです。付きまとうのを振り切ろうと化粧品に入ってメイク落とし買ってお店出てきたら、まだいるじゃないですか~。
無視して歩くと付いてくるのですよ~。それで今度は薬屋さんに入って保湿クリームのことあれこれ話していてふと外見ると姿が見えなくなって、やれやれです。
でも、これが女性の方なら、<気持ち悪い~><怖い~>ということになるのでしょうけど、嫌や~と云いながら気持ちの奥ではわくわくなのです。<女性と思って、それも90歳の妖怪に近づいてくる男性がいるなんて>悪い気していないのですから、矢張女性と女装は違うのだと当たり前のこと思うのです。
でも、女装さんの多くは私みたいに遊び感覚みたいに女装しているわけではありません。
女になりたい~その衝動に駆られて家族にも打ち明けることもならづに密かに女装している方が多いのです。それこそ必死の女装なのです。なんでも比率的には交通事故死より女装さんの自殺率が高いということを聞いたことあります?
今は社会的には寛容の雰囲気がでてきていますけど、さもありん~そんな思いがします。
私のフレンドさんでも、女装スナックのロッカー借りて女装の衣装いっぱい詰め込んで女装に着替えることを唯一にして街をうろうろするのが楽しみにしていたのが、子供に<おかま!>言われてすごいショックで街歩けなくなったといいます。
彼女良く言います。「女装しているのがばれたら嫁さんに追い出される}て~それがです遊び場を別に設けて姿見えなくなってから、スナックのイベントであったら堂々とお乳見せてくれて、それがまさに女性そのものの見事な乳房なのです。
薬飲んでいるというのです。私、彼女のお乳の見事さに感心する反面心配になりました。
「貴女、そんなことしてお家は大丈夫?奥さんに気づかれるでしょう。」
「大丈夫~風呂は一緒に入らないから~」
「でも地域の付き合いで温泉に行くといっていたでしょう?」
「男だと思い込みで誰も気づかないよ。肥えてきたと思うぐらい」
そんなものでしようかね?私は気を使って損した思いです。
まあ、所帯持ちの女装さんが多いけど、一方、離婚歴も高いように私の知る限り多いように思います。
まだまだ女性にとっては女装は許せないのでしょうか?
でも一方では、私が居酒屋やカラオケスナックなど行って、「90の妖怪です」自己紹介したら女性たち一斉に手を振って、手合わしてきたり、抱き着いてきたり大変なのですよ。
そんなこと思うと今は女装への偏見を乗り越える過度的な時期なのかな?考えるのです。<続く>