結論から申しますと、スピッツの「バニーガール」、そして「黒い翼」は私の脳内で一つの物語として繋がってますよという話です。妄想です。妄言です。



「バニーガール」


潔癖という程でも無いけど極めて常識的な感性を持つ私の姉などは、「スピッツは好きだけど、バニーガール?あ〜、うーん、ちょっとねぇ…。イメージがねぇ…。ちょっとえっちな感じがねぇ…。あーーーでも名曲ぅーーー!」という想いを抱いていたのをよく覚えています。私のバニーガールのイメージとしてはドラゴンボールのブルマですがもっと年上の方だったらプレイボーイクラブなんぞ思い出すのでは無いのでしょうか。

オタク業界の末席であってもそこに身を置いている者としては、パロイラスト等でバニーガール(なんなら逆バニーなんてけしからん概念も有りますね)を見かける事は有っても生で見た事は未だ有りません。生の、しかも素人のおふざけコスプレではなくプロのバニーガールを見る事が有る人生、死ぬまで見る事の無い人生、人の生はそう二分されますが(されません)、私の勝手な想像としてはバニーガールと道を交わらずに人生を終える人が大半なのではないか、そう感じております。

そうなってくると、人間「バニーガール」という言葉に夢・希望・エロチシズム、或いは金・裏社会・絶望など様々なイメージを乗せてしまいます。「バニーガール」とされていますが、その実は水商売、或いは性風俗全般の意味が有るのかもしれません。違うかもしれません。

そんな「バニーガール」を冠するこの曲、歌詞を聴くと途中まで「俺」と「君・バニーガール」の接点は清々しいほど有りません。俺から君への具体的なアプローチは見る事、妄想する事、そして…。


歌詞を読んでいきましょう。


寒そうなバニーガール 風が吹いた

意地悪されて 震えていた


昔の私は、バニーガールの震えを寒さと意地悪で泣いて震えているんだと解釈してたけど、今は怒りだと思ってるし、何なら「俺」も泣いてると思ってて、マサムネさんはそうじゃないよって書いてるかもしれない。


恋は 恋は何故か我儘に光のシャワーを闇に向けた


恋のどうしようもない衝動をこんな歌詞で歌えるスピッツ、素晴らし過ぎる…。何回生まれ変わってもこのフレーズ出てこないんですが!?


俺もまたここで 続けられそうさ

そんな気がした曇りの日


曇りの日ってのが絶妙ですね。「続けていく」ではなく「続けられそう」、「そう決めた」ではなく「そんな気がした」、まさに曇り空の下の心持ちです。


only youの合図で回り始める

君と落ちてく ゴミ袋で受け止めて


このサビを覚えておいて下さい。


夢見た後で夢に溶けた

灯りを消して一人泣いた

いいなあ いいなあと人を羨んで

青いカプセルを 噛み砕いた


毒じゃん!

灯りも消さずにいつの間にか寝落ちてて、真夜中に目覚めて点けっ放しの蛍光灯を消した途端に涙が溢れる、そんな経験誰しも有りますよね…。よね…。


名も知らぬ君に 気に入られようと


えっ、サビでオンリーユーと決めて共にゴミ袋へ落ちてこうとした「君」、名前も知らない間柄なの??という驚き。

ただ、知らないのは本名かもしれないなぁという可能性。


底の無い谷を飛び越え


「俺」にとっての「名も知らぬ君」へのアプローチ、それは「青いカプセル」「底の無い谷」に象徴される「死ぬ程」の思い切りだった…。

ただ、底の無い谷を飛び越える事が果たして君に気に入られる要因になるのか??という疑問も浮かび。


only you 世界中が 口を歪める

君に消される 砂嵐に攫われて


世界中が祝福せず、君にも受け入れられなさそう、そしてそれを自覚している恋っすよ…。


この後は既出歌詞の繰り返しですが、君に消される君と落ちてくが続くので、「俺」の恋の情熱と狂気が際立ってゾワゾワします!



そして私は、アルバム・crispy!収録の「黒い翼」の「ゴミ捨て場」というフレーズに気付きハッとします。

嵐の午後にゴミ捨て場で目覚めた僕は、バニーガールに懸想しバニーガールの「君」と共にゴミ袋で受け止めて欲しいと望んでいた「俺」なんじゃないかと…。何なら、久しぶりに沢山、沢山眠れたんじゃないかと。念願叶って一緒に落ちる事の出来た「君」は目覚めた時にはもう立ち去ってたんじゃないかと。

※リリースは黒い翼の方が先です


そう思って黒い翼の歌詞を読むと、「俺」の過去が僅かに垣間見れます。


いつもモザイクの切れ端だけ握らされ

笑い話しのネタにもされてきたけど


こんな経験をして来た「俺」がバニーガールで自己肯定感の低い恋をしていたのも頷ける気がします。

この曲の歌詞で語られる事は少なく、


黒い翼で もっと気高く

まだ見ぬ海を 駆けて行け

無限の空へ 落ちて行け


と、とにかく気高い決意を感じます。翼を持っても高くは上がらずに落ち、海面スレスレを駆ける、泥臭く気高い精神を感じます。


私はこれをバニーガールとの恋、それが上手く行ったか行かないかはともかく(嵐の午後に目覚めた時には一人だった気がするな〜っ)それを経て行き着いた境地だと妄想したいのです。市街地焦げてるけど。



おしまい