実に4年ぶりに行われる大祭「秋祭り」が明日の午後から三日間行われます。
読み方は「ことのままはちまんぐう・れいたいさい」
8町の屋台(山車)が盛大にダイナミックに練り歩く、昔から殆ど変わらない伝統的なお祭りで、今ではこの神社はパワースポットと化し、年々ギャラリーも増えて賑やかくなりました。
しかしこの4年あまりはコロナの影響で殆ど中止となり、昨年はかなり縮小しながらも町内単位で細々と行われたようです。
そして今年はほぼコロナ前に近い形で行われる節になったようです。
と言うことで、自分も4年ぶりに屋台に乗ってお囃子「笛」を吹かなくてはなりませんが、この4年のブランクは相当なものになりました。ただでさえ祭り以外に練習をしていなかったので、身体作りも出来ておりません(;´д`)トホホ。
さて話は少し変わりますが、先日のN○Kの朝ドラ「らんまん」を中で南方と言う人物から「竹」の花の標本を送られて来ましたが
その竹の名が「ハチク」と言うことでしたが、その花が120年周期で一度だけ開花すると言うことでしたが、自分はこれまで一度も見たことがありません。
実はその「ハチク」と言う竹が何故気になったかと言うと、我々が使っている笛は、そのハチクを使っているからです。
「ハチク」は「淡竹」と言う文字で表されたり所説あるようですが
私の住む地域では「ハチコ」とも言います。
このハチクはタケノコの料理に使われ、その味は大きな孟宗竹よりも小型で食べやすくサッパリした味が好みです。
成長した竹の特徴は、節の間が長く、節も低くそこそこ肉厚があり丸いので笛にはピッタリなんです。
私が持っている笛はこの3種。
一番上の篠笛はほぼ全国共通でお祭りに使われるものです。
こちらでは祭り囃子と言うより三味線や鼓、太鼓など合わせて演奏す道囃子などに用いられます。
竹は女竹「め竹」と言われる細い竹で作ります。
調子は5本調子から7本調子くらいまであるのかな?
数字が大きくなるにつれ、笛は短くなり高い音になります。
そして下の太い二本の笛が、ハチクを使った「特一本調子の笛です。
そして篠笛のように調子を合わせることはしません。
なので集団で笛を吹くと全然音色が合いません。
集団で合奏することなどは、ごくイベントでしか吹かない。
また同じ曲目でも師匠や宗派によって違うのも特徴です。
長さ63センチ前後、外径29ミリ~32ミリ、笛の末端部分の内径18~22ミリ前後。
重さ、黒色の方が約404グラム、竹色の方が約450グラム。
そして篠笛と一本調子を吹くときの息の入れ方が全く異なります。
篠笛は細く小さいので息を殺すように細く優しく吹き込みます。
逆に太く大きな一本調子は腹に力を入れ、唇に力を入れて強く絞り出すように力強く吹き込みます。
笛が大きく太くなるほど力量は必要になって来ます。
更に指で押さえる穴の間隔にも特徴あり。
7個の指の穴の寸法と一つ目の穴から歌口までの寸法が同じにするのが「カンの笛」そこから穴半分遠くにしたのが「アイの笛」更に半分遠くにしたのが「ジの笛」と言います。
一般的に太い笛は「カン」で彫り細い笛は」ジ」で彫る感じになります。
カタカナで表記していますが、漢字の文字がわからないためです。
当然音色に違いがあります。
「ジ」は優しくおとなしい響きですが、遠く響くのが特徴。
「カン」は殆ど太い笛を使い、息が入るようになると周りを狂信させるようなダイナミックな音色を響かせます。
「アイ」はその間をとったもので、私の師匠が考案したと聞いています。
これだけ大きな笛を吹くのは静岡県でも遠州地域のみでその中でもごく限られた地域のみ。
全国レベルで見ても他には存在しないようです。
そしてそのお囃子のルーツは浅草三社囃子の流れを組むと言われています。
笛作りは山へ行って竹を取って来て自分で穴を開け、吹き込んで行きながら調整しながら自分のものにして行きます。
歌口のすぐ横「笛の頭側」に「こみ栓」と言う「栓」をしますが、それも息を吹き込み音色を聞きながら位置を調整すると言う、大事な作業があります。
笛は鳴ってなんぼ。それでも吹き込んでも鳴らない笛もあります。
出来上がったところで暫く沢山の時間を使って笛を吹き込み、自分でこれだと気に入ったった笛は、装飾を施したりします。
糸や「藤」=「と」を巻いたりもします。
装飾と言うより竹が割れるのを防ぐためでもありますが。
我々は装飾に銀を良く用いますが。
銀細工の装飾です。これらは専門の業者にお願いするか、同じ笛を吹く会員の中にも技術をもった人がいるので自分の場合はそちらにお願いしています。
棒状に加工された銀の棒を加工して笛に巻いて行く方法ですが、
節の無い所を巻く場合は、指輪状に加工した後に端からハメ込みますが、節と節の間に巻く場合は、一度ぴったり合うサイズに加工後、接合部を少し開き笛に入れたあと接合部を閉じてロウ付け加工します。
当然ロウ付けするのでその部分は高温になります。
ですが、出来上がった接合部分を見るとまったく焦げている様子が見られないのです。
しかも磨くと継ぎ目が分からない程綺麗に仕上がっているのです。
どうやっているのか聞いたことがありませんが、凄い字術だと思います。
業者でもそこまで嫌いにやるところはまずありません。
これは刀装具の「目貫」
材質は赤銅、江戸末期頃のもので作風は「牛若弁慶」の図。
薙刀を振り回す弁慶を、牛若丸がひらりと飛んで交わすシーン。
本来は刀剣の柄の左右に付くものです。
こちらは茶色の笛の頭にある「丸龍」(がんりゅう)の金物「銀製」
元々はタンスの引き出しなどに付いていた装飾金具だったようです。
10年くらい前にヤフオクで偶然見つけたものです。
そしてこの笛は私が師匠のところへ弟子入りして頂いた笛を
後に装飾したものです。
師匠は手が小さいので指の穴の間隔が少し狭くなっています。
その為たの笛よりも少し全長が滲角なっています。
が、笛の作りは完全に「ジの笛」となっています。
この装飾をしてくれた方は既にお亡くなりになられていますが
私の師匠も20年ほど前に亡くなられたので、形見となってしまいました。
さて祭り期間中のお天気も良さそうなので、沢山のギャラリーさんたちに囲まれてこの4年のうっ憤を晴らすべく楽しめたらと節に願いたい。
期間中ブログの更新はままならないと思いますのでご了承をお願いします。
3連休となりますが、皆さんはどう過ごされるのでしょうか。
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