廃刊の瀬戸際に立たされているオカルト誌「アーバン・レジェンド」の記者・陣内は、自らのクビをかけて謎の暗殺者「死神」を追うことになる。
とはいえ、陣内自身、ただの都市伝説と半信半疑。
追い詰める以前に存在さえも確認できておらず、絶望感だけがつのる陣内だったが、編集部の隣にある貸し金事務所のヤクザ・松重から、組長の死は死神によるものだった、という話を聞く。
高校の先輩で個人投資家の本宮の力を借り、陣内は組長の死が周到に仕組まれた「偶然」であることをつきとめる。
だが、死神の手は陣内自身にも迫りつつあった…。

バナナの皮で人を殺してしまうという、アホらしいといえばアホらしいですが、実際に成功すれば「事故死」としか見えない完全犯罪。
全体的にちょっとダラダラしたかんじはあり、とてもおいしいキャラのはずの本宮がちょっと影が薄いのですが、死亡フラグがばんばん立っていくドキドキ感はコワおもしろい。

「あー、やっぱりこれがフラグだった」とけっこう簡単にわかるところも、「死亡フラグ」ってのがそもそもお約束なだけに、「やっぱりね」感が楽しかったです。

でも、実際に死神に追い詰められていくところはそれなりに緊迫感があります。ラストはもうちょっとスッキリさせてほしかったかな。

それぞれのエピソードがラストに向かってぐぐっと収束していくような、「これぞクライマックス!」という印象はちょっと弱いですけれど、B級感たっぷりのミステリで(映画『ファイナル・デスティネーション』を髣髴とさせる。この映画は小説内でも少し言及されています)、こういうのはこういうので楽しいと思いました。

2010/8/12 読了