職場の企画の一環でアンケートをとったところ、中学生がやたら「Deep Love」とか「恋空」とか書いてくるので、携帯小説についてはあまり価値を認めていなかった私ですが、どんなもんだろうと少し調べてみました。


★はてなダイアリーには「Deep Love」として、こうありました。

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ケータイ
で連載された小説。主人公のアユが援助交際し、エイズで死んでいく。

Yoshi著。映画も公開される。

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身も蓋もないがな…。

Wikipediaで著者のYoshiさんについて調べると、

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この項目では物語作家について記述しています。任天堂のゲームキャラクターについてはヨッシー をご覧ください。

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すみません、笑いを取りたいのでしょうか?(笑)


…それはともかく、Yoshiさんって男性だったんですね。知りませんでした。
で、「『アユの物語 完全版』の一部を公開」、というなんだか回りくどいページがあったので行ってみて、サンプルを読んでみました。

え、エロ小説…?

中学生は読まなくていいと思いました…が…。
アダルト表現(かなり生々しい。官能的とかそういうものではなく、過激というより単に生々しい)の部分がわざわざ選んであって、びっくりしました。
Yoshiさんが誰に向けて書いたのかよくわかりませんが、少なくとも私は中学生には薦めません。
それは、ストーリーがいいとか悪いとか、そういうこととは関係ありません。
それを読んで、逆に真似したらいけないから、とかそういうものでもありません。

表現が大人向けだと思うからです。
一通りのことは知っていて、一通り自分の意見がある人、という意味で「大人」です。あるいは、こういう小説の意味を考えることができる、という意味で。(それができれば、基本的に年齢は関係ないかもしれませんが…。)

そこに書いてあることを全部「まともに読んでしまう」ような人の中で、特にローティーンの人たちに対してどんな影響がどのぐらいあるのか、よくわからない。
もちろん、いちばん「いい」、感動的な部分が公開されているわけではないのでしょうが、こういうアダルト部分があると知ってしまったから、どうも勧められない。

こういう「ナマ」な話でないと、面白く読めないのかしら。
いいとか悪いとかではなく、こんなに生々しい話ばっかり読んでいると、想像力が減退するのではないかと思う。
エロスっていうのは半分以上が想像力だと私は思う。書かれていないからエロいっていうのはいくらでもあるでしょう。
別にそちらの方が高尚だ、なんて言うつもりはありませんが、そういうものをこっそり読んで、そこはかとないエロさを感じとるのが中学生の読書体験ではないでしょうか(笑)

また、「簡単な表現で、描写は少なく、とにかくわかりやすく」という姿勢で書かれていて、それは携帯小説というスタイル上もっともだと思うのですが、まさしく携帯小説であるためだけにシンプルなのであって、文章の枯淡さとかそういうものとは関係がない気がする。

それはYoshiさんもご自分で言っておられるようで、文学的な小説が書きたいのではなく、「メッセージを伝える媒体」としてたまたま文章を使った。一人でも多くに伝えるためには少しでもわかりやすい表現が望ましい、というようなことを述べていらっしゃいます。
いいか悪いかはともかく、その通りなのでしょう。
でも、どの辺りまでの年齢層を想定してメッセージを送っていらっしゃるのでしょうか…。
こんなこと考える私はおカタイのでしょうか。

しかもこれ、ちゃんと活字になって(横書きらしい)、すごく売れたんですってね…。
そういえば、前に塾で教えていたとき、中学生の男子生徒がその本を読んで「感動した」って言っていました。
まあ、一切字を読まないよりはいいのかもしれないけれどねぇ…。

それから、「これを読んで援助交際をやめました」という人もいるらしい。
それはいいことだと思います。
読者にそういう影響を与えられる話、という面ではいい話なのかなぁ(多分道徳的な観点からそういう考えに至ったわけではないのでしょうが)。

なんかよくわからなくなってきた。

いずれにせよ、個人的には、中学生のうちに読むべき本(文章)は他にいくらでもあると思います。
ま、そういうふうに言われると逆に読みたくなるものなんですけどね(笑)


「恋空」もまたそのうちのぞいてみようかな。