兵庫県立美術館 に行ってまいりました。
お目当ては、ロダン展です。
テーマは白と黒で、「私は美しい」と題された彫刻がチケットやちらしに使われています。

さて、オーギュスト・ロダン(1840-1917)さんですが、詳しくはこちら → Wikipedia オーギュスト・ロダン
「考える人」や「地獄の門」などでよく知られていますね。(ところで、「考える人」はもともと「地獄の門」の上のところで考えていました。)京都国立博物館にも「考える人」がいます。
カミーユ・クローデルは彼の弟子でもあり恋人でもありますが、多分それ以上のものだったのでしょう。

ロダンの作品を見るのは初めてではありませんでしたが、これだけ多くの作品を一度に見たのは初めてでした。
テーマが「白と黒の新しい世界」、ということで、ブロンズの作品(「青銅時代」も来ていました)と、大理石や石膏の作品とが並んでいました。ほんの小さな作品から、大きなブロンズ像までたくさんあって見ごたえがありました。
会場が広いせいか、めちゃくちゃ混み合って困るということもありませんでしたし(それでもかなりの人出だったと思いますよ)。

四部屋ある企画室のそれぞれの入り口には、ロダンについてや作品について、ブロンズ像の作り方についてなど、きちんとまとめてまりますが、作品一つ一つには説明がついていないのでよかったです。説明がついているとどうしても読んでしまうので(貧乏性)、疲れるし作品自体に集中できないので…。

ロダンの作品って、確かにとても力強いのですが、非常に理知的といいますか、荒々しいとか圧倒的というよりは静かな印象を受けました。
ロダンはギリシャやローマの彫刻を集めていたのだそうで、そういうものが見られたのも面白かったです。
でも、理想化された人間の体だけを追求するのではなく、老いた体や苦悩する顔もありましてどこかぞっとするようなものもあれば、バルザックの習作群のようにちょっと笑ってしまうものもあり(ちなみにバルザックは受け取りを拒否したそうです。太鼓腹)。

で、「私は美しい」ですが、地獄の門の向かって右側にある彫刻です。
美術館には単独の作品として飾られていました。
台のところに、「Je suis belle, ...」と刻まれています。作品の後ろの壁にも訳つきで書いてありました。
ボードレールの詩なんだって。

一言で言うと、マニアック。ものすごくマニアックに人の体(特に、胴や手足など)
を追求している。
友達と一緒に行ったのですが、彼女は「本当は頭なんていらないと言わんばかり」と言っていました。
特に手の作品が多いですが、ロダンの手はリアルでどれもどこかエロチックです。「本物の手を切り取って作ったんじゃないか」と疑われたというのもうなずける。

ロダンは「アサンブラージュ」と呼ばれる技法を使って、別々に作った作品を組み合わせて別の作品を作ったりもしています。(一点もの、というのはむしろ少ないようです。たくさん複製を売っていたんですよね。)
そのアサンブラージュも、「ひょっとして遊んでるの?」と思うようなものもあり、作品を作るのが楽しかったのかな…と思いました。

大理石の作品などを見ていますと、大理石の中になんらかの「形」が埋まっていて、彫刻家はそれを取り出す…というのはあながち嘘でもないのかな、なんて思ったりもしました。(もちろん凡人にできることではありませんけれど。)
本当に、大理石から人が浮かび上がってくるというか、生まれ出てくるというか…とても不思議なのです。

ちなみに、カミーユ・クローデル展を見たこともあるのですが、そちらはとても情熱的で生々しかったです。狂気にも近いかもしれません。
そういうテーマで集めたからなのかもしれませんけれども。
カミーユ・クローデルはデデューがシンクロでやっていました。映画にもなりましたね。
彼女の作品もすばらしいので、機会があればぜひ。