- アフターダーク
を読みました。
とらえどころがないのですが、不思議というわけでもない気がします。
筋はアマゾンさんにおまかせです。→ アフターダーク
というか、筋も別にないです。
ぱらぱらと現れてぱらぱら散っていって、でもそれぞれいろいろ抱えている。- 抱えていて、それはとても深刻なのだけれど、お互いに全部話せるわけでもないし聞いてあげられるわけでもない。
解決してあげられるわけでもない。
善意の他人。善意だけれど、他人。
都会の片隅。
でも、最後は寂しいのだけれどほんわかあったかくなる。
いつもは「これでいいのかな」と思いながら「これしかないよな」と納得しつつ、それでもじんわり温かくなる読後感があったのですが、今回のは本当に希望が見えていて、その分「じんわり感」がちょっと減ったかも。
たった一晩の眠れない夜の時々刻々に女の子がいろんなことに出会い、それも熱く関わっていくのではないのに冷たくはないすんなりとした関係ができていく。
終わりが未来につながっているようだし、「テレビ」がいまいちよくわからないまま終わってしまったので、「まだ続くのかな」なんて簡単に思ってしまうわけですが、これはこれでおしまいのほうがいいんだろうな。
というのは、書かれていないところでそれぞれのお話がどんどん続いているんだろうな、と思わせる展開であり終わりだからです。
そもそもテレビの誰かだって、小説内の人物とは限らないんだよね。
フィクションだって十分わからせた上で、「そんなわけない」って思わせないところがすごいです。
今回、いちばん「おや」っと思ったのは、一人称じゃないこと(これまで私が読んだ小説は、全部一人称だったので…。まだ全部読んでないんです。)
「私たち」という視点があること。
で、これは難しいです。「私たち」ってことは、多かれ少なかれこちらに参加を求めてくるってわけでしょ。難しかったです。
いい感じでお話にもぐりこんできた、と思ったら現実に引き戻されるわけだから。
もちろん、村上さんが考えてのことだから意味があるのでしょうけれど。
そんなわけで、短くてすぐ読めるのですが、なんともどうしたらいいのかわからないお話でした。
まあ、それも好きです(笑)