【今日のワンポイント】

新薬情報。

●オプジーボ(一般名:ニボルマブ)

すでにメラノーマに対しては承認されていましたが、非小細胞肺癌(腺癌を含む)に
対し、小野薬品が承認申請(2015/07/21)、承認(2015/12/17)となりました。

メラノーマでの実績があったとは言え、実に5か月のスピード承認です。

ただ薬が高価なものですから、DPC包括評価(入院1日につきいくら、という定額制
で診療報酬を受け取る)病院では、赤字になってしまうため、本来導入時入院して
始めるべきところを、通院で投与しているケースが目立ちました。

その後、DPC包括評価の対象から外し、出来高算定とする事が認められ(2016/01/13)、
つまり入院の定額制とは別に診療報酬が受けられるようになったため、
2月からは、入院で導入するところが増えたはずです。

しかしこの薬、マスコミがセンセーショナルに取り上げている反面、問題があります。

(1)奏効率が約20%しかない。効く人には本当に良く効くのだけれど、効かない
人も多い。横這いを含めると約50%になるので、横這いでもよしとし、癌と長く
つきあって行くものかもしれません。
(2)重篤な副作用が多い。免疫に対するブレーキを外すのですから、免疫が
暴走することが考えられます。あらゆる自己免疫疾患が想定されます。

特に(2)は、いわば両刃の剣で、今は1型糖尿病だけがクローズアップされて
いますが、たとえば甲状腺機能障害は、実に12.3%の発症率です。

他にも間質性肺疾患、重症筋無力症、筋炎、大腸炎(重度の下痢を引き起こす)、
肝機能障害、肝炎、神経障害、腎障害、副腎障害、脳炎、重度の皮膚障害、
静脈血栓塞栓症など、ありとあらゆる疾患が副作用として列挙されています。


●タグリッソ(一般名:Osimertinib; 開発コード:AZD9291)

この薬はT790M変異による耐性を獲得した非小細胞肺癌に対する、
第三世代EGFR-TKIです。

私の癌は、T790M変異耐性が確認されているので、この新薬に大いに期待
しているのです。

・日本肺癌学会がAZD9291の早期承認を要望(2015/07/03)
・アストラゼネカ社が申請(2015/08/日付不明)
・厚労省が優先審査品目に指定(2015/10/29)

優先審査品目に指定された新薬は、申請から8~9カ月で承認されており、
早ければ、今年の4月承認、ゴールデンウイーク開けに使用開始、
というのが私の予想ですが、いかがでしょうか。



【これまでの経緯(11)】

[2015/10/28]

YC病院診察の日。
M医師「CTの結果、胸膜播種が再発しているように見えます。」
確かに白いポツポツが画像に認められる。

ついに、再発か。

私「オプジーボが来年早々承認されそうだから、これを使うのはどうでしょうか。」
M医師「オプジーボねぇ。」
あんまり乗り気でない様子。

M医師「まだ、すぐに抗癌剤を投与する感じでもないので、来月再度CTを撮って、
変化を確認しましょう。」


癌が再発したら、緩和ケア病棟のエントリーを申し込むという事にしていたので、
MS病院へ電話で予約する。
紹介状とCT画像の電子データ(CD-R)が必要との事。去年はそんなもの必要とは
言ってなかったのに。
エントリー申し込みのハードルを上げたのだろうか。


[2015/11/17]

紹介状とCT画像のCD-Rを、M医師自ら渡してくださる。


[2015/11/30]

オプジーボが厚労省の部会で承認されたというニュース。
事務手続きがあって、年末までには正式に承認されるだろう。


[2015/12/09]

MS病院で緩和ケア病棟のエントリーのための面接を受ける。

紹介状にきちんと書いてあったのだろう、病気の事はあまり尋ねられず、
私自身が、今の状態を十分把握しているかという点と、
緩和ケア病棟では延命治療を行わない点について、念を押された。

無事エントリー終了。

医師「今後病状に変化があったら、都度看護師に連絡してください。」
と言われる。

面接終了後、緩和ケア病棟内を見学。
すべて個室で、非常に静か。

一般病棟とは完全に隔離されている感じ。


[2015/12/16]

YC病院診察の日。

実は、年明けから入院になると思われる、と会社の関係者に表明してありました。
そして1月末日をもって退職し、治療に専念するとも。
丁度還暦になったところだし。

M医師「CTの結果、胸膜播種は前回CTとそんなに変わっていないようです。」

私「オプジーボが承認されますね。」

M医師「オプジーボは奏効率がドセタキセルと同じぐらいですからねぇ。」

M医師「カルボプラチン+アリムタ+アバスチン投与が良いと思いますよ。」

M医師「本当はAZD9291が承認されれば、Fさんにはこれが一番効きそう
なのですが。」

確かに、AZD9291の方が有望なのはわかる。

M医師「でも、まだ治療はいいでしょう。来月CTとMRIも撮ります。」

そんなに毎月毎月CTを撮って、被ばく量は大丈夫なのか。

いずれにせよ、年明け入院は無くなりました。


退職の予定は、変更せず、1月末日という事で、会社に退職届を提出しました。



つづく