散り頻る染井吉野を見届けるかのように、八重櫻が咲き染め
櫻は咲き染め8分、散りぎわの2分が見頃と
聞いたことがあります
櫻どきも終わりに近づき、少々櫻酔いの心地がします
誰でもこの一冊はという本がありますね
故郷の小説家、泉鏡花の「歌行燈」 引っ越しのさいいつも大切に残したものです
文体もさることながら、漢字、仮名まじりの言の葉の美しさ!
眺めていて、つくづく日本語の国に生まれてよかったと思わせます
原作をもとに映画や舞台もありますが、今回は各ジャンルの俳優
能のシテ方、囃子方が競演するというので関心がありました
能「海士」の「玉の段」の舞が重要な役割ですが、まず幕開きに
後シテの龍女の舞が観音開きになる舞台中央で舞われます
すこし意表をつく始まりでした
あの万華鏡のような香りたかい文体は、まさに能の序破急のよう
朗読と芝居を行き交いながら、能楽の縁があった鏡花らしいと
あらためてその原作からの幻視性を感じることが出来ました
天狗(勘当された若い能楽師、喜多八)から習った
お三重の舞う「玉の段」のくだり、舞い始めから
途中能役者に入れ替わる場面が自然でした
一差しの舞や謡を聴いて勘当した弟子と分るのも
能楽の世界ならではなのでしょうね
「肩に綾なす鼓の手影 雲井の胴に光さし、
艶が添って、名誉が籠めた心の花に
調の緒の色、颯と燃え、ヤオ、と一つ声が懸る」
小鼓の源次郎師が際立っていました!
新派的、いや能楽的な朗読劇に想え楽しい観劇でした
金沢に出向いたばかりなのに、櫻めぐりやお墓参りに忙しく
鏡花記念館を観る時間がなくなり残念
やはり稀有な2代目の旭桜と菊桜の見頃にー
いま問い合わせたところ旭櫻は満開になったとのこと!
ほんの4日違い、花時に逢いたかったです
シドモアの写真に逢うつもりでトンボ返りしたいですね
この春の三溪園の夜桜 まるで鏡花の夢幻で妖しげな趣
西行が詠う「--いま幾たびの春にあふべき」の感慨深く
花冷えの夜、佇んでおりましたー櫻恋はなにか悩ましい想いです
始めて焼き皮で桜餅、皮を薄くするって難しい!
すこし厚めの餅皮になってしまいましたが
花びらは吉野旅のよすが、吉野櫻です!
「老木のひこばえ哀れ 春ふかし
命をつなぐ櫻水ながれ} みみ卯