立春になり、白木蓮がー春告げ花の到来です

かなりの大木なので咲き誇ると見事でしょう



今年はじめての能楽、二階席だと能舞台を俯瞰しているようー

前田家所縁の松に梅をあしらった鏡板がすこし見切れますが

懐かしくほっとする空間です



企画公演で「生と死のドラマ」 四回シリーズです

第1回は「老いをどう生きるか」 とても今日的なテーマで戸惑いました

「鸚鵡小町」  零落した百歳をこえる小野小町のもとに

和歌に心を寄せる天皇の使いが反歌を求めにー

「や」を「ぞ」に一文字を変えただけの鸚鵡返しの技をみせ

和歌六義について語ります

そして在原業平が舞ったという「法楽の舞」を舞って見せます

序の舞ですがそのゆったりと流れる時間は、小町が一生のよう

才色兼備と持て囃された時分は、洋々とおおらかに見え

だんだん年重ねて老残の身は、枯落葉色の狩衣は小さくなり

枯野に朽ちてしまいそうーに想われました

謡いでは業平は木賊色(黒みがかった緑)の狩衣と

ありますが、シテの長絹の色合いも印象的で

裾の萌黄色の長着が少し暗示的かもー


喜多流の香川師は、老い、かほどに早き光と影

時人を待たぬーを自然体で体現して見応えありでした

位の高い老女物ですが、小町物が多いのも不思議ですね

平安期の宮廷の貴族たちの世界は箱庭のように想えます


狂言「枕物狂い」 やはり百歳祖父(おおじ)が若い娘に恋

孫たちが引き合わせることにー狂言三老曲のひとつ

恋に狂う老醜のなかに品位や色気を感じさせる曲と

書かれていました

様々な老いの生き方があるでしょう

物乞いをするほどの小町ですが、衰えぬ矜持が

痛々しいながら心に響きます

どう生き抜くか難しい課題です!


立春になると使いたい鶯の落雁型

そして毎春 想う古歌

 「雪のうちに春はきにけり鶯の

        凍れる泪 いまやとくらむ」  二条后


入内前に業平と恋仲で駆け落ちもした高子(たかいこ)

后になっても恋多き女人! 古は老女の濃き想いに

寛容だったと読んだことがあります

今だったらさぞ週刊誌を賑わしたことでしょう

野次馬としては面白いです 笑

老いを真剣に考えなければならないのにー呑気ですね