夜半に駆け抜けていった台風19号!毎週ですね
すこし朝焼けになり、小鳥のさえずりが聴かれます
大風前の近所のイチョウ、もう銀杏子を落としていましたが
今日は盛大に撒かれていることでしょう

もうすこし台風の余波がおさまるまで、静かに過ごすことにしましょう
先週見た、映像美が際立つていた「IDA イーダ」
ポーランド映画で、1962年のポーランドが舞台
戦争孤児で修道女の誓願をするまえの18歳のイーダ
逢ったこともない唯一の肉親の叔母を訪ねます

雪のなか、修道院を後にする光景、8年前ほどになりますが
やはり2月で雪中のポーランドを旅したことと重なりました

モノトーンで自然光の陰影、どこかフェルメールの絵を
感じさせる静謐な映像!


叔母から初めてユダヤ人であると聞かされ、二人で母たちの墓を
訪ねあるくロードシネマ、どの場面も暗示や象徴が散りばめられてー

父母は森で殺され、その遺骨を探しだしますが、ユダヤ人であることの
悲劇、古代ローマから続くヨーロッパでの錯綜した歴史を
感じさせ、更地になっていたゲットーのように
語りたくないポーランド人の心境を感じさせてました
ワルシャワからクラコフへ列車からみた風景や村々を通り過ぎながら
アウシュビッツへ行ったことなど鮮明に想いだされます
ガイドの言葉は、とても重いものがありました

この叔母は、ソ連占領下に判事を務めた知的で奔放な人物
ユダヤの出目でも社会的地位を得ていたことなど
謎は深まりましたが、窓より飛び降り自死します
戦後ポーランドの光と影を体現しているのでしょうか



叔母の死後、その衣服を身に着けサックス吹きの青年と過ごしますが
イーダの醒めた眼差しが印象的、彼女は自立した意志で修道院へ
戻っていくー多分カソリックの神に自己を捧げることが唯一つ
アイデンティテイを得ることのように思えました
98%がカソリックで「神のご加護を」が挨拶がわりの国
もっと知りたいと思わせます

アンジェイ・ワイダ監督の映画、「灰とダイヤモンド」など何作か
見ていますが、このポーランド派へのオマージュのようー
白黒だけの映像美、問いかけることの重さが忘れがたいー

グランドシャルトルーズ修道院の「大いなる沈黙」
16年たって撮影許可がおり、監督ひとりで半年間
仏アルプスの美しくも厳しい自然のある修道院に
住み撮影した作品

はじめは未編集の映像かと思う程、ひたすら修道僧の日常を
映し、音声はほとんどない分風雨や雪などの自然音、足音などが
迫ってくるー神の言葉が字幕で問いかけてくる不思議な映画!
これは感受性が試されているように思いました
3時間におよぶドキュメンタリー、静寂を探求する長い旅の
途中にあるような想いに囚われました
自然光だけの閑寂な映像の美しさが光っていました

 

「シャルトルーズ酒」 濃い碧色のリキュールで強くて甘い
少しずつ口に含むと、芳醇な香りが広がり好物でした
中世からこの修道院で作られていたようで、その場面は
ありませんでしたがー
どこかで一瓶求めてたいと思いましたね