五月の連休 なんとかよい日和になりそうですね
さて今日の外題 「恋」戀の歌は、八代集の歌集でも大切な部立
沢山の戀歌が載せられています

   「郭公なくや五月のあやめ草
           あやめもしらぬ戀もするかな」古今よみ人しらず

あやめは、織物の文目にかけてわれを忘れて夢中になること!
つい口ずさみたくなる歌ですね

五月のきんとん 銘は「遠緑」でもあやめは「彩愛」とも
連休のはじめは、窓越しの浅緑を眺めながらの一服


戀重荷は一月にも観た演目、古式の小書でシテが代わると印象が異なります
立派な体躯のシテですが、色ある櫻に柳の乱れるようにすべしという
世阿弥の言葉を思わせる風に吹かれ舞う柳の狂気を感じさせていました

「重荷なりとも逢うまでの、戀の持夫になろうよ」
「誰踏み初めて戀の路、巷に人の迷ふらん」など詞章の美しさに惹かれます

「千手(千寿)」 今回は新しい小書の「思衣之舞」!
一の谷合戦で捕えられた平重衡は直面で登場しますが
平家の公達の気品を漂わせ、愛人の千手の面会をはじめは断る潔さ
とても印象的でした

でも二人で過ごす雨の一夜、観世清河寿と改名されたシテ
朗詠を謡い白拍子の舞は情感にあふれて美しかったー
小書の新しい舞どころはよく分からないのですが
「はやきぬぎぬに引き離るる袖と袖との露泪ー」と
二人が舞台で入れかわるときに袖が触れ合うー
情愛の余韻が残る場面に感動です

千手の美しさ、優しさにどれほど重衡は心慰められたことか
でも別れの辛さもひとしおで、シテもワキも為所の多い
現在能ー二人の想いの深さは終曲まで満ち溢れていました

笛方の主催で、新しい試みをいつも入れていますが
古い革袋に新しい酒を思わせる新しい演出など
能には果てあるべからずーと世阿弥の言葉どおりで
とても堪能しました

戀歌はなかなか詠めないものー無為に過ごしてきたかな

  「うきたびに などなど人を思えども
        叶はで年の積もぬるかな」 西行

やはり代謡していただきましょうか  苦笑