毎年立春は春寒のようですね ぽかぽかの節分の昨日から

一転して寒のもどりとなり、雪も舞いました!


「雪のうちに春はきにけりうぐいすの

          凍れる泪いまやとくらむ」  二条后


     古今集の二条の后の春のはじめの御うたに

心惹かれて、うぐいすの落雁と寒氷の梅ーもう定番になりました

この清和天皇の女御であつた藤原高子(たかいこ)は入内するまえは

在原業平と相愛であったとー伊勢物語からそう読み取るひとも多い!

うぐいすの凍れる泪という擬人化や謎めいた仕掛けが心憎いですね

叶わぬ戀に東へ下る業平へのなにか想いも感じられます



初能となった「戀の重荷」  

破動風鬼の能として世阿弥の自信作といわれています

白河院の女御に戀心を抱いた老庭師、あまりにも叶わぬ戀!

美しく飾られた荷を持ち上げればもう一度女御の姿をといわれ

ましたが重荷のため持ち上げられません

なぶられたと知り、嘆き恨みを残して自死してしまいます

後場は庭に下り立った女御は、突如身動きできなくなります

悪鬼となった庭師は恨み責め立てますが最後は女御の守護

しようと消えていくー

芸談には色ある櫻(女御)に柳(老鬼)の乱れたるようにすべしーと

なかなか難しいけれど、一途な想いをもてあそぶ仕打ちに世阿弥は

否定的で弱者へのまなざしを感じさせます 最後まで責め立てる「綾鼓」と

ことなり、怨念を翻す老鬼の情念に人間の機微を感じました

戀の想いとは 重荷のようなものかあー今も昔も変わりませんね


下掛宝生流の人間国宝、宝生閑師の対談を聴きました

祖父の宝生新の舞台を覚えています 今はご子息も父親そっくりの

お声で活躍です

修行の裏話など普段知られないことばかりで面白かった

シテ方ばかりではなく、ワキ方の視点で舞台を

観ていくことも必要だなあーと想いました

今年で80歳! まだまだお舞台に立つていただきたいですね

まだ何番か能は観ているのですがまたの機会にしましょう

あしたは凍結するらしいー気を付けて歩きましょう!


              

                  気動萌始   こんな春に逢いたい!