世界各地の天候異変で災害も多かったこの一年!

関東地方は蒼い空に朝日が美しい大晦日を迎えました

齢古るごとに、一年が短く感じられますね


今年の見納め能は「時々の花」の最終回 玄冬の巻

老女物の大曲で「檜垣」


シテは檜垣媼

美女の誉れ高い白拍子が

生前の華やかな生活故に

地獄に落ち、火の燃えさかる

釣瓶をさげて水をくみ続ける苦しみ


因果の水を汲む様子は

その足の運びに

極まっていました

檜垣女という老女の面!

痩女の種類ですが

どこか昔日の面影を

宿しているように見えました


世阿弥は三老女物(姥捨、関寺小町、檜垣)に

高い位を求めています

月の白さを感じさせる「姥捨」に対して

流転してやまぬ水の相の輪廻を

美しい過去ゆえに老衰は無惨なのでしょう


「年ふればわが黒髪も 白川のみつはぐむまで老いにけるかな」と詠う老女

このみつはぐむまでーは水を汲むを老衰に掛けた語だと解説していました

この老女の序の舞は、一層の趣を感じました

どこか一足ごとの歩みが人生そのものというか,「水を汲む」という行為が

曲全体のテーマであり、仏教的な無常感を漂わせていました

まだまだ分からないことばかりですが、多分技能をこえた次元の

位の能、心の働きだけの秘奥の位置なのでしょう

流派の重鎮のシテ方は、流れる時間に厳しく対峙しているようにも見え

また空気のように軽やかさを感じさせていました

2時間にわたる音曲ですが、長さを思わせないのはさすがです



暮からのお泊り、まだ寝ないのですか 紅白はなかなか終わらないですね  

お蕎麦も食べてしまったしー



年越しの一服は、大晦日に打つ落雁の鐘と寒氷の雪で〆!

仙叟(利休の孫にあたる四代宗室)が加賀藩に茶頭として

仕えていたときの句があります


   「雪ふりて 鐘のほかには 訪れもなし」


シンシンと雪の降るつもる故里が想われるのと

京を離れた仙叟の哀愁が切に感じられてー

故郷を離れている者の感慨かもしれません

北陸の街は、もう根雪になっているのでしょうか


 「水汲みて 妄執の影あはれ世の

        ときを限りし習ひありしか」   みみ卯


そろそろ除夜の鐘を聴く時刻になります

この一年ありがとうございました