その舞台は、薔薇が咲き乱れる庭から始まった!
今年の3月16日にNYメトロポリタンでの上演のライブ
サンドナーイ作曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」
舞台中継ですが、幕間ごとにインタヴューやバックステージなどが
映し出され、3時間半を飽きさせません
舞台装置や衣装も倉庫に
眠っていたものを使用
ドレスの刺繍(イタリア製)など
美しいものでした
フランチェスカは、仇敵の
脚が悪く残酷な長男と
政略結婚させられるのですが
迎えにきた次男パオロを
相手と思いこんでしまったことから
悲劇が始まります
その第一幕は、13世紀のイタリヤ、フランチェスカの美しい薔薇の庭先から
真紅の薔薇を差出し、二人は一目で恋に落ちるー
美男で心根優しいパオロに比べ、その弟は、さらに残忍で狡猾!
心に秘めていた2人の恋情を暴いていくーオテロのイヤゴーのような役割です
嫉妬に狂った夫により、二人は斬殺されるというイタリアオペラらしい悲劇です
この時代のイタリアの政争、戦いに明け暮れていた!今も昔も根っこの部分では
変わらないように感じました
2人の美しいアリアが随所にあり、フランチェスカ役のヴェストブルックは
容姿も美しく演技力も確か、パオロのマルチェロ・ジョルダーニは
甘いマスクで似合っていました
劇場より、至近距離で映されるわけですから、こういう要素も重要ですね
サンドナーイ(1883-1944)は、ヴェルディやプッチーニの影響を受け
このオペラを作曲、もっと上演されてもいいと思いました
場面転換の裏方の様子が休憩中に映し出されていて面白かった!
各インタヴューも、舞台の進行の合間におこなわれていて
結構臨場感がありました
メトロポリタン歌劇場は、半世紀前!に行ったきりですが
シンプルな客席の様子など想いだしました
あの時は、「トスカ」 拍手が凄かったというか足を踏み鳴らしての
カーテンコールで、米国人はトスカが好きなのだなあーと
妙に感心したことを覚えています
オペラ続きのようですが、人生のオペラハウスと副題のついた
「カルテット」 イギリス映画を観ました
ヴェルディが、ミラノに建てた音楽家のための憩の家を
英国の田園地帯に置き換えた映画です
この主役の四人以外は、ほとんどプロの老音楽家たち!
スターだったジーンがこの老人ホームに入所することから始まります
マギー・スミスは達者な女優で大好きです
開口一番、「まるで刑務所みたい!」 気位が高く気難しい一面
老女の哀しさや優しさも見せてくれます
とにかくかって9時間!だけ夫だったレジーと再会する破目にー
これだけでもドラマとしてなにか起こりそうー
経営難の老人ホームのため、音楽会が企画されます
「リゴレット」の第三幕の四重奏のメンバーが揃い
渋るジーンを説得して大成功、ホーム存続も叶い
ジーンとレジーもあらためて再婚するというハッピーエンデイング
ダスティン・フォフマンの初監督作品ですが、かえって英国人気質を
浮き彫りにしていたかもー
老いても皮肉たっぷりに、相手と競いあったりとコメディみたいで
面白かった!
全篇音楽が流れるなか、森の小路や田園風景が広がり
こんな終の棲家ならいいなーと
高音が割れる老醜は晒したくないというジーンに、森の花を摘んでくる
認知症が進行しているシシーが愛くるしい!
貴女の好きなブルーベルよと差し出した花束を
払いのけ、その花びらが空に舞うシーンが印象的
英国が一番美しくなるこの季節、森の下草として群生しています
これはキュウガーデンの森の小径、ブルーベルが
絨毯のように広がっていました
よく本を読んだりして過ごしたものです
手持ちのCDは、スカラ座のライブ録音
「Bella figlia dell’amoreー」 美しい恋の娘よ
なんども聴きかえしました!
映画ではパバロッテーとサザーランドが歌った四重奏を
エンドロールで流すのもシャレていました
口パクでなくてよかった!
単なる老人映画にしたくなかったという監督
煉瓦造りのジョウジアン様式の邸宅の優雅さ
そして老人への暖かいまなざしがある作品
やはり老境の桃源郷かもしれませんね
今もマナーハウスが、あちこちに残っており
ホテルや結婚式場などに活用されていたり
公開されている英国
大英帝国時代の遺産が、豊かな自然とともに
あるのは羨ましい環境です
これからオープンガーデンもあるよい季節に
なりますね
愛らしいブルーベル!
初夏を感じさせる
爽やかな花です
