映画は見出すと、つづけて見たくなるものらしいー苦笑
とくに映画の舞台が、旅をしたことがある場合行きたくなります
これもそのひとつ「最初の人間」 アルジェリア !
アルベール・カミュの自伝的作品です
カミュについては、断片的しか知りませんでしたが
1960年自動車事故で46歳で死亡、カバンのなかにあったのが
未完のこの作品
作家として名をなした主人公、コルムリが、老いた母を尋ねるため
アルジェリアに帰郷する物語
アルジェリアでの幼少期が走馬燈のように描かれます
この大地の渇いた空気、光、風の色まで映し出されるような映像
2度アルジェを旅した実感が追体験されました
貧しいフランス人入植者の家庭での幼少期、父を早く亡くし
母と祖母、叔父との暮らしことが綴られていきます
厳格な祖母、貧しさが窮まったなかでも気位の高さをみせつける演技が
抜群でした
弱者でもさらに弱者(アラブ人など)にたいしては優位性を保とうとすることなど
屈折した複雑な感情が現れていました
帰郷した1957年、アルジェリアは独立運動が高まり
コロン(ヨーロッパ系入植者)のなかでも様々な対立を生み出し
触発の危険があった時代!
1830年よりのフランスの植民地支配ですが、アルジェリアは
北アフリカ支配の拠点として本国のひとつの県となり
特別な存在だったのですね
インドシナなどの植民地などを失った仏国は、1962年、ドゴールにより
終結をみるまで泥沼の戦争になったと言われています
よくインドにおけるイギリスの植民地支配の巧妙さと比較されていますね
単にアルジェのカスバの景色が懐かしかっただけでは済まされない
多くの事を考えさせられました
他者との共存を願い、暴力による解決に否定的な立場をとりつづけたカミュ
とても今日的な問題提起になっていると思いました
年老いた母の穏やかな日常、この地に留まるのは
アラブ人たちが居る景色があるからーと語ります
共存しようという意識、願望なのでしょうか
とても心に残るよい映画でした
ホールのある界隈は古書街
懐かしくてブラブラしました
最近は物を増やしたくないので
専ら本も図書館を利用
つい手をだし2冊ゲットー
コーヒー代にしかならない
そうとうお買い得感があり
嬉しくなりました
四半世紀ぶりでしたが
昔行った手打蕎麦屋
店じまいし残念でしたが
懐かしい雰囲気の珈琲屋で
ほっこりと温まりました
昔いった街をぶらつくのも愉しいですね
これは友人の勧めで観た映画 「東ベルリンから来た女」
東西冷戦中の東ドイツが舞台です
西側に移住の申請をしたばかりに、地方に左遷された女医バルバラ
とても知的で硬質な女性
とにかく日常をすべて
国家警察シュタージの
監視下にあり、数時間の
不明な時があるたびに
家宅捜索、屈辱的な
身体検査をうけるー
あのゲシュタポの影を
見る思いがしました
周囲の人すべてに監視され
緊張を強いられる社会!
多くを語らず寡黙な映画ですが
その怖さを感じさせます
西側の恋人との逢瀬など
スリリングな場面などがあり
心理的抑圧をよく表現
ドラマとしても楽しめる作品
いざ脱出の手筈が整ったとき
虐待をうけてきた少女に譲る決意と人間愛
医師としての使命感もあったのでしょう
毅然としたヒロインの姿は美しく
踏みとどまることの真の勇気に
心うたれました
闇夜、少女を乗せたtゴムボートが向かったのは
対岸のデンマークなのですね
荒涼としたドイツの海岸の映像が東と西の狭間であることを
より強調していたようで心に沁みました
このあと9年後の1989年、ベルリンの壁は崩壊され
翌90年には東西ドイツは統一されたのですね
壁が取り払われた一年後に、ドレスデンへ行きました
列車の駅にいくのに旧東側に入ると景色が一変!
一人旅だったので、なるべく西欧人らしき観光客と
離れないようにしていたのを覚えています
ドレスデンへはこの一枚の絵を見るためです!
ジョルジョーネの 「眠れるヴィーナス」
ベネチア派の絵画が好きで、絵の前に立つことができ
幸せでした!
危険を感じることなどなく、とても美しい街並でしたが、空襲で
壊滅的な被害をうけた建造物を、ジグゾーパズルのように
再構築したドレスデン人に敬服です
唯壁の跡を越えて西側!に戻った時、やはりほっとしました
路上で壁のかけらを売っており、おみやげに買いましたがー
2002年のエルベ河の大洪水のあとに再訪しましたが
その時は宮殿の絵画館は、被害のため閉館中!
いまも残念ですが、オペラ座でなにかを観た記憶があります
もういちどヴィーナスに逢いたいし、他にも特筆する絵画が
ありました
またシネマの追憶の旅を探してみましょう!