折々の言の葉


北欧映画の一週間の開催で、なんと3本の作品を観てしまいました!

まず100年前の無声映画!


折々の言の葉


「密書」  1914年、デンマークの作品

ベンヤミン・クリステンセンが、脚本・編集・主演の四役で監督デビユー作品!

スパイ容疑で死刑の判決をうけた海軍将校ハウエンが、妻や子供の奔走で

容疑がはれるハッピーエンデング

重厚な設えや優れたライテイングの美しい映像美あふれる作品でした

とても100年まえとは思えない現代性を感じました

息子が父親逢いたさに、忍んで行く牢獄、今も残る要塞の入り口や

掘割、監視兵のボックスがそのままの光景でした!
折々の言の葉

去年の夏の

城塞の掘割


映画では

宮殿の入り口でしたが

写真が多すぎて

見つからない!




活弁にかわるピアノの生演奏も珍しかった!

サイレント映画ピアニストということですが

終了後の対談では、ほとんど画面をみながらの即興演奏で

ヨーロッパでは当たり前のようですが

これも不思議な初体験でした

1910年代は、デンマーク映画は黄金期で、クリステンセンは

すぐれたカメラワークで絵画的な美しさを演出していて

とても評価がたかったことなど全然知りませんでした

折々の言の葉

「ワルプルギスの夜」   1935年のスウェーデン映画

これも戦前ですが、バークマンの初主演作品

妻ある上司に恋心を秘めた純愛作品ですが

バークマンの清楚な美貌が際立っていました

中高老年の男性が多かったのもうなずけます!

この時代のスエーデンは、少子化が社会問題で

結婚し出産を、国策として奨励していた背景が

あったとのことです

現代の日本も大問題、随分先を見据えていたのですね


ドラマとしても、いろんな展開があり2人が晴れて結ばれるのも

どこかハリウッド的でしたが十分楽しめる作品でした

ワルプルギスの祭って、どうも恋にまつわる、日本の歌垣のように

感じました


折々の言の葉


三本目は「杉原千畝の決断」  1999年の米日合作ドキュメンタリー

多くの証言から構成され、真実を浮き彫りにしようとしていました

命のビザを、ひたすら人道的な立場で発行した背景にある時代!

ナチのポーランド侵攻により、おおくのユダヤ難民がリトアニアへ

当時の外交官は、諜報活動も任務でドイツ、ソ連の動きを収集

ナチの暴虐も分かっていたようです

彼はキリスト者で、目の前の人を救うことにためらいがなかったのでしょう

戦後、外務省の命に違反とみなされ、免責され不遇な後半生を送ったのです

たしか河野洋平外務大臣のとき、名誉が回復された!遅すぎましたね

そう昔のことではないのに、真実はなかなか現れてこないこと多いです


折々の言の葉


5年ほどまえ、この2月 雪のポーランドを訪れました

アウシュビッツ、ピルケナウの収容所へ行きました

絶滅するための死の工場いわれていたので、なにか緊張感が

ありました

痛ましい痕跡もあちこちにありましたが、どこか整然と整備された博物館みたい

でも子供の靴や洋服、メガネや歯ブラシなど、あらゆる日用品が分別され山積み

義足など肢体補助器具が一室一杯にあり、負傷したドイツ兵に使われたと聴き

背筋が凍る想いをしました

ただ何十万人を焼却したといわれるガスチェンバーは、意外にも小さかった!

今もいろんなことが検証されているようですが、人数に関係なくこれらの行為は

許されないし、人間はどこまで残酷になれるのかと重い心になったことを

鮮明に覚えています

丁度ユダヤの帽子を被った高校生の一団と行き交いましたが

ところどころで祈りを捧げていました

この若者たちに、どんな心の痕跡を残したのかと気がかりですー


折々の言の葉

ワルシャワのユダヤ人墓地、墓碑が林立、雪のなか詣でてる人たちを

見かけました

戦前300万いたユダヤ人口のうち、生き延びたのが5万人と聞きました

ポーランドの人にとっても、辛い戦後だったことでしょうね

とくに東部地区は反ユダヤ感情が強かった

ユダヤ人がソ連に協力したらしいとのことでユダヤ人狩りも行われた

でも拒めば一族郎党が逮捕された時代!

通訳の女性は、涙を浮かべて語ってくれました

ワルシャワのゲットー跡地は、ほとんど更地になっていましたが

収容所につづく線路だけが雪間に残っていたのが印象的でした


折々の言の葉

これは「Pope John Paul Ⅱ」 と名付けられた白バラ

ポーランドの98%は、敬虔なカソリックです

クラコフに向かう途中、生家の近くを通りました

亡くなったあとも、「吾らのローマ法王」として

敬愛の的で慕われていました

現法皇は退位を決断とありましたが、やはり英断かもしれません

Paul Ⅱも晩年は御辛そうでしたものー

クラコフはアウシュビッツに近い古都で

美しい広場がありました

ガイドのひとが案内してくれたレストラン


折々の言の葉


ポーランドの山小屋風で、居心地のよい処

素朴な料理や、暖かいもてなしが、あの残酷な風景と対照的!

不思議な感覚に捕らわれました

気にいり次の日も出かけましたが、平和であればみなが享受できたことですね