夜来の冬時雨で、木立がしっとりとしています
この金色堂は、同じ佇まいの覆堂の中ですね
大震災の影響は、平泉の道がすこし凸凹したと
タクシーの運転手さんが言っていましたが
中尊寺全体は、ほとんど被害がなかったようです

世界遺産となり、ますます光輝いていました
1124年の創建で本尊は阿弥陀如来
金色の光は、来迎をうける阿弥陀の光
丈六佛など平安仏教美術の宝庫!
内陣の精緻な象嵌なども、剥落していないのですね
なんど見ても感動、美しく荘厳された極楽浄土!
金の光は仏の世界で、この眩さはこの世の
ものではないといことなのでしょうか
南洋の貝、紫檀、象牙など外来品の細工など
藤原氏の財力は大変なものだったと想像できます
藤原氏三代はことごとく滅ぼされたのに
この光堂は残された!
これも稀有なことですね
やはり寒山中尊寺は信仰の中心だったのでしょう
ご朱印と寒山の線香を買いました
経蔵の紅葉、盛りは過ぎていましたが趣がありました
このお堂に納められていた「中尊寺経」は国宝!
紺地に金と銀字行や見返しの絵など眺めているだけでも
素晴らしいですー読めたらもっといいのでしょうがー
もうひとつ気がかりだった能舞台!無事でよかった!
加賀の白山神社で、中尊寺の鎮守として遷座された
神仏習合の見本みたいですね
前に夏の薪能に来たことがあり、蝉しぐれのなかでの観能は
能の原点のように想いました
2度目は冬で舞台の上に青氷が張っており、印象的でした
なぜ冬場に訪ねたのが想いださないのですがー
もとは拝殿だったのですが、橋掛かりもある能楽殿に
設えたのは嘉永6年仙台藩主伊達氏、それ以来社寺により
演能が続けられているということです
茅葺で末枯れた趣といい、いまも使われていること自体
かけがえのない事だと思います
社頭の古杉は姥杉というのだそうです なるほどと納得 苦笑
伽藍のようによい香なので、後水尾天皇に奉献したときの御製
「いく千歳齢なりぬる神の木の
神はしら山杉の一本」
よい御歌ですね、また故郷の白山を仰ぎ見たくなりました
来年には、ぜひ古式式三番や能舞を拝見したいものです
ついつい羽衣の絵馬を買ってしまいました 笑
芭蕉がおおくの句を残していますが
それより昔、西行も平泉を訪れています
雪ふり嵐はげしく、汀氷った衣川を見てー
「とりわきて 心もしみてさえぞ渡る
衣川見にきたる今日しも」
また奈良から遣わされた僧と語りてー
「涙をば 衣川にぞ流しつる
ふるき都をおもい出でつつ」
いかにも冬枯れの厳しく寂しい風景だったと想像できますね
後に義経征伐の古戦場になると予想していたのでしょうか
衣川を見下ろす高台からみると、雲間にかすかに虹がー
前に出羽三山の月山に登ったことがありますが
山々がゆったりと連なり、北や南アルプスとは異なる趣でした
東北の山には、またの季節に訪れたいものです
「冬時雨
おしき落葉を吹きよせて
人は旅人吾も旅人」
本歌どりの語呂合わせです
義経記の現代訳の拾い読みですが
頼朝の真の目的は、義経より平泉の藤原氏を
征伐することで、義経を国賊として平泉に
匿わせることで攻めの口実を作ったのだとー
この義経逃亡記は、おおくの判官びいきの
古典芸能をうんでいます
いろいろ辿っていくと興味ふかいものに
なりそうです
今回は短い旅でしたが、みちのくへ想いを
あらたにしました
機会があれば、三陸方面にも足を運んで
手向けの旅ができたらと思います
この景色を風化させてはいけないと切に想いました
はやく土地のかさ上げが出来て、海を臨んで
住めるようになったらいいですね 合掌