中秋の名月の今夜、台風で風雨がますます強く
観月どころではありません
夏の間の留守で、すっかり枯れてしまった草花
すこしだけ寄せ植えしましたが、やはり薄が欲しいですね
これは昨夜、仲秋の一日前の名月、ほとんど満月です
能楽堂の帰り道で、撮っておいてよかった!
ここは、もと前田家にあり、その後染井舞台として親しまれ
近年、この横浜に寄贈された関東地方最古の舞台です
明治8年に根岸の前田斉康の隠居所に建てられ、その後
染井の松平家に移築され、東京空襲にも耐えた能舞台!
前田家の紋所の梅と、笹が描かれた松羽目板は柔らかい趣ですし
故郷の縁も感じ、よく通います
明治になっても、百万石の大名家は豊かだったのですね!
「美の世阿弥 華の信光」の三回シリーズの初会
同じ役者が、二つの作品をつづけて演じるというユニークな試みです
「山姥」は世阿弥作といわれており、鬼女、山の妖怪ともー
日本の山々には、さまざまな山姥が伝承されているようです
都の百万山姥の舞で名高い遊女と、本物の山姥の対決ー
「山姥は山めぐりするぞ苦しきー」と謡いながらの曲舞が眼目
仏教の六道の輪廻をあらわすとも書いてありますが
奇怪な鬼女の山めぐり有様を、まるで軽く山の霊気のように
舞って見せていました
今回は黒川能の面をつけており、より人助けもする山の老女風に
やさしい趣で、産土的な性格が現されていました
「一樹の陰、一河のながれ、皆これ他生の縁ぞかしーー」
「山また山に山巡りして、行方も知らずなりにけり」の終章は
深い余韻を残します
それにしても、能は旅するひとがおおいですね
諸国一見の僧や、かどかわされた子を探す母親のシテなどー
この遊女は善光寺詣りの道中に真の山姥に遭遇!
一時間あまりの休憩後、2部がはじまりました
信光作の「皇帝」は、玄宗皇帝と病気の楊貴妃、シテは鍾馗
たしかに演出の作者といわれるように、工夫や仕掛けがあり
これでもかと面白くみせる能!
やはり時代がそれを求めていたのでしょうか
御座で病魔のツレと闘う鍾馗さんはすこしキレがなかったかもー
体躯が立派すぎて大変みたいにみえ残念でした
今回は、シテが装束を自由に選ぶ企画なので、いろんな面で
シテの美意識が試される演能でした
二回、三回目が愉しみです
夜更けて、台風の風に払われて、くっきり月が!
身の危険を感じるようなお月見ですが、まんまるですね
来年は、姥捨山で月を愛でるのもいいですね 笑