折々の言の葉


夏日の翌日は花冷えで花には追い打ちの風雨!

10度あまりの温度差で、花にも身にも厳しい気候ですね

緑は河津桜、枝垂れ桜も満開、一重の桜はもう葉桜にー

季節は移ろいますね


折々の言の葉

でも八重櫻が見頃です 春雨の露を含んでか色どりが濃いように見えます


折々の言の葉


この八重櫻は、この家(大正時代の歴史建造物)の庭にあります

とてもシンプルな造りで、前に改修していたので

桜が切られるのではと心配しました

でも同じように復元されましたーよかった!


折々の言の葉

毎春この艶やかな八重櫻を愛でることが叶いました!

桜の満開前線も北上して、もう水戸あたりに達しているようですね

この季節に相応しい能「桜川」を観ました


折々の言の葉


日向の国に住む貧しい親子ー桜子(さくらご)という名の少年は

母の困窮をさっし、自ら人商人(ひとあきんど)にわが身を売り

母に手紙と身代金を残して東国へ連れ去られます

母はそれを知り、嘆き悲しみ行方を尋ねる旅へー

第二場は、千キロも旅をし、常陸の国の桜川の畔で物狂いとなり

抄網(すくいあみ)で川に流れる桜の花びらを掬い取っています

丁度桜見物にきていた僧侶と稚児(じつは桜子)と出会います

親子対面が叶い、故里へ戻るハッピーエンデイングでした!


抄網は朱色の柄や網でとても美しい作り物!

眼目の網の段は、落花流水の風趣、とにかく桜や花にまっわる

言葉があふれ、落花を惜しむ抒情詩でした

桜子恋し、この桜川での散る花を徒にせまじと思って抄う所作は

母の情愛は古今変わらないーと感じいりました

人買いは古くからよくあったことなのでしょうね

それにしても少年の健気さには泪です!


謡のなかに古歌が散りばめれていますが、確実に分かったのは

西行の「花見にとむれつつ人のくるのみぞ

              あたら櫻のとがにはありける」


世阿弥をはじめ、当時の貴賤の鑑賞者は古歌に精通していたのですね

また能「西行桜」も老桜の精が、西行の夢のなかで和歌問答をする

春の夜の美しい趣向ーでこの歌が引かれています

この時候に相応しい能ですが、また観てみたいです

折々の言の葉


休憩のロビーで煎茶手前をしている女人!

桜を飾り、無心で点てていました

能楽堂では、はじめての珍しい光景でしたが

やはり風流の極み?の趣向なのでしょうか

多分主催者と関係なく、観能の方だと思いましたがー

桜に心奪われた一週間となりました