折々の言の葉


海のみえるホールでルーシーという愛称のあるパイプオルガンがあり

2020席の大ホールです

やはりご当地フィルでベートーベンシリーズでした


折々の言の葉


まず序曲「コリオラン」 はどこか不安な重い主題です

 前に蜷川幸雄演出でシェクスピアの最期の悲劇といわれる

「コリオレイナス」の公演をロンドンで観たことを想いだしました

古代ローマの将軍で情熱的で純粋であるが故に

悲劇的な最期をとげます

この戯曲より200年後、コリンの「コリオラン」に触発されて

作曲されたと書いてありました

劇のことを感じながら、演奏を聴く!重く悲しげに終わる曲ー

稀なる機会だと思いました


折々の言の葉



確かに海が近いと感じられるロビー、明るいですね

さて演奏は交響曲第8番につづいて、第5番!

運命という表題で親しまれています

「ダダダダーン」はまさに「運命はこのように戸をたたく」!

とても切れのよい快発なモチーフが印象的です

全体に劇的でありながら洗練された雰囲気を

感じさせよい演奏でした


折々の言の葉


今回はステージの奥の席で客席に対面しています

指揮者の振りがよく分かり、楽器もよく見えます

金 聖響は手首が柔らかく、表情も豊かで楽しかった!

休憩でワインを飲んだので、ぶどう畑で共鳴しているようなー

コアの中は音色が満ちており、ゆりかごのような感覚!

次もこの席を選びましょう


アンコールの「J線上のアリア」のまえにスピーチがありました

あの震災のあくる日は公演日で、なんとか楽団員がそろい

800人もの聴衆が駆けつけてきて開演したことー

決して忘れることができない演奏になったということでした

レクイエムが終わり、皆で起立して黙祷を捧げました

去年から何度このアリアを聴いたことでしょう!

指揮者も泪ぐんでいたように感じましたが、ないか

胸に迫るものがありました


これらの曲目は震災にかかわらず決まっていたのかも

しれませんが、大切なひとときとなりました

ハ短調の運命はやはり勝利の歌でおわるはずですから

どんなさだめにも立ち向かう力が欲しいとー

心より願わずにはいられません


折々の言の葉