折々の言の葉


鏡開き前なので、国立能楽堂はまだ華やかなお正月飾りでした

初能に出かけたばかりなのに、観たいと思っていた「松山天狗」!

西行と崇徳天皇の交流が題材で、金剛流ではなく観世流の複曲です

天狗しかこないご廟所に西行が弔い歌を詠んだことに感じあらわれる

崇徳院の霊!その心象風景を鮮明にする意図と書かれてました

怨みをのんで配所の松山白峯で没した崇徳院の復讐の念が強調されています


折々の言の葉


後シテは崇徳院、実際はもっと末枯れた感じの怪士(あやかし)系の面

黒の直衣に緋色の長袴は目にも鮮やかです

楽の音でゆったりと帝王の夜遊の舞がうつくしいーそして

急に調子は早くなり逆鱗の姿をあらわす急の舞!

この切り替わりが印象的でした

多分こういう瞬間のため能を観ているかなーと思います


崇徳院は鳥羽天皇の第一子ですが、祖父白河上皇の子らしいという説

大河ドラマ「平清盛」に鳥羽天皇がそれに気づくシーンがありました

そして幼い崇徳院もーこれから保元の乱など面白そうですね

院政を争い、魑魅魍魎たる天皇家や藤原氏の陰謀などで

崇徳院が敗れ配流になるわけですからー

後白河法皇はどの役者が演ずるのでしょう

でも歴史小説家はいろんな刷り込みをするわけですから

責任重大です、歴史観が変わるかも知れませんものー

新古今集にある崇徳院の歌を見つけました 

    [押しなべてうき身は さこそなるみ潟

               満ち干る汐の變るのみかは」

流される前のようですが、西行の歌は何首も載っていて

きっと歌の友だったのでしょうか

              
舞台生活60周年記念能なので、同じシテで「土蜘蛛」

天皇に従わない土豪をさしているそうですが

千筋の糸(鉛をしんにして雁皮紙をまきつけたもの)

盛大に撒いたので、見所まで届きました


折々の言の葉

おみやげに貰ってきました 笑い

でも本当に細く切ってあります

ぱーっと弧をえがいて撒かれると

とても美しいし見応えがあります

切組の武者たちは蜘蛛の糸で全身

がんじがらめ状態でした!

土蜘蛛の妖怪のシテも激しい動きで

熱演でした  大曲2番、お疲れ様でした


折々の言の葉