いきなりですが「夕顔」の花、
源氏物語の4帖を題材にした能「夕顔」を観ました
光源氏17歳の恋!垣根に咲く夕顔を手折ったことから
歌を詠みあい、身分を明かさないまま忍んで通うことになるー
「心あてにそれかぞとみる白露の
光る添えたる夕顔の花」とよんだ女人には
誰か分かっていたように思いました
雨後の品定めにでてきた常夏の女でこれは撫子の古名ですが
後シテの夕顔は白い長絹で、露芝になにか文様があったのですが
多分瓜の縫いだったではないかとー
ユウガオはうり科の野菜(かんぴようを作る)で平安時代には栽培されていたらしい!
この瓢箪瓜とは結びつきにくいけれど、儚げで佳人薄命の女人の
源氏との契りを懐かしむ舞は寂しげな美が感じられました
もう一番は[海士]」 玉取り伝説による能で、これは讃岐の志度寺の縁起絵巻
龍宮に奪われた「面向不背の珠」を奪いかえすために命を捨てる母性愛!
「玉の段」はとても有名な場面です
我が子の房前大臣の管弦講により龍女となった後シテは女人には珍しい早舞
初オロシから盤渉調に調子が高くなり、成仏できる喜びを表現していました
不比等との子とはいえ、貧しい海女が我が子の出世を願うために
身を捨てることは永遠のテーマなのでしょう
「玉の段」に関心を持ったのは、泉鏡花の「歌行燈」です
漢字仮名交じりの美しい文体で、眺めているだけでも快感かな
その中で桑名の宿に門附けする芸が苦手な若い芸子と
旅の能役者のいきさつがあります
その芸子が唯一出来るのがこの玉の段の舞なのです
これを見て、雲隠れた天才的な能役者の甥が教えたものと
分かり、舞に涙ながらに鼓で調子を合わせるくだりなど
是非「玉の段」を見てみたいと思ったものでした
なんど見ても心打たれます
志度寺には海女の五輪塔があるようですし、讃岐八十八か所の八十六番礼所
是非お詣りしてみたいですね