折々の言の葉


7月朔日(旧暦6月1日) は氷室の節句

氷室は冬に雪を蓄え、氷として夏に切り出す昔の保氷法

古くは日本書記にも記述があり、奈良時代には春日神社に

氷室がありそれを祀り、いまも氷室神社があると聞く


金沢ではこの氷室まんじゅうをこの日に食べて、健康で息災にと

願う風習がある。アイスブルーの雪片の形をした素朴な味で、

子供のころのなによりのおやつであった。


縁起ものとして、たとえば娘の嫁ぎ先の親類縁者まで配るという

とにかく花嫁のれんにはじまり、孫たちの初節句はみな嫁の実家が

整えるなどなどー娘を3人もつと身代があやうくなるーとまで

いわれる土地柄。 もともとは江戸時代に加賀藩は将軍に

この氷室の氷を献上するためその道中の無事を祈願して

このまんじゅうを供えたのがはじまりとか


百万石の前田家も外様大名として、幕府への気使いに腐心

庶民も娘に肩身の狭い思いをさせまいととする親心

なにやら根っこはおなじかもしれない


この炎暑、一山も越えないうちに溶けてしまいそう

せめて能「氷室」の氷室明神が詠うように

「浮かび出でたる氷室神風、あら寒や、あら冷ふやー」

とはいきそうもない。日本国中熱風は吹き荒れている。

これからが夏本番なのに!