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【 テーマ「かこ」について 】

「かこ」では、私が2008年9月に経験した交通事故について綴っています。

 私自身がこの貴重な経験を忘れてしまいたくないから。
 毎日毎日起こり続ける交通事故、そのひとつひとつ痛み・重みを
 少しでも多くの人に知ってもらいたいから。
 そしてこの経験を踏まえたうえで、
 毎日を楽しんでいる人がいるんだということを知ってもらいたいから。

主観とエゴのかたまりかもしれませんが、お付き合いいただけたら幸いです。

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11月3日。


長い長い、1日の始まりだった。





今日は私の転院の日。

10月最後の日にヤスが退院して、今度は私がこの病院にサヨナラを言うときがきた。




母もいたけれど、荷造りはほとんどヤスにやってもらった。
私にとってはそのほうが気を遣わず、らくだった。



一番心苦しかったのは、折り紙を捨てなきゃいけないときだった。

私がまだ寝たきりのとき、ヤスがリハビリに行って私の話をしたらしく、
毎日のように作業療法士の先生たちが(ときには理学療法士の先生も一緒に)
私に折り紙を折ってくれていた。

けれどこれらまではとても持っていける状態じゃなく、
携帯電話で写メを撮って、泣く泣く捨てた。


先生たち、ありがとう。

リハビリから帰ってきたヤスから細やかで綺麗な折り紙を受け取るたび、
とっても嬉しかったよ。

$○o。*SMILIFE*。o○---きっとできる♪なんでもできる♪その笑顔がある限り----081102_1118~010001.jpg




母は事故の相手のOさんにもらった箱菓子の処理に困っていた。
それはたくさんあるわりに賞味期限が早くて、
到底私たちには食べきれるようなものではなかったのだ。

母はお世話になった看護師さんにもらってもらおうとすると

「すみません、看護師が患者さんにこのようなものをいただいてはいけないことになっているんです。」

と断られた。
でも、と母は食い下がらなかったが、

「いただいたことがバレたらクビになってしまうんです。お気持ちだけいただきます。」

という言葉には諦めざるを得なかった。

「そうですか…それじゃあ、仕方ないですね。」


そう言う母は、まるで世界から見放されたような顔をしていた。




事故から1ヶ月半すごしたこの小さな個室は、すっきりと片付いていた。

痛く苦しいこともあったけれど、
それ以上に楽しい思い出の詰まった部屋。

けれどもう私の荷物は一切なくなり、なんだか少しよそよそしくも感じられる。


出発のときだ。




誰かが、「そろそろ時間だよ」と言った。