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【 テーマ「かこ」について 】

「かこ」では、私が2008年9月に経験した交通事故について綴っています。

 私自身がこの貴重な経験を忘れてしまいたくないから。
 毎日毎日起こり続ける交通事故、そのひとつひとつ痛み・重みを
 少しでも多くの人に知ってもらいたいから。
 そしてこの経験を踏まえたうえで、
 毎日を楽しんでいる人がいるんだということを知ってもらいたいから。

主観とエゴのかたまりかもしれませんが、お付き合いいただけたら幸いです。

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11月2日。

今日は新潟市から友達がお見舞いに来てくれる日。

次の日には新潟市に転院するよと言ってるのに、
アルバイトの休みが今日しかとれないからと、わざわざ片道3時間近くかけて来てくれるという。



ヤスは既に病室に来て、2人でおしゃべりしていると
ひょっこりと彼女が顔を出した。


「よく来たねー!」

そう言っていそいそと支度をしだす私たちに、彼女はわけがわからない様子だった。

「ど、どうしたの?」

私は満面の笑みで言う。

「ん、外出するの。車いす押してね!」



そんなわけで私たち3人は颯爽と病室を飛び出した。

ナースステーションの前を通るとき、
看護師さんたちが笑いながら「いってらっしゃーい」と手を振ってくれた。

行き先はいつもと同じデパート。

今日はもうヤスの歩きにも余裕がある。




私は外出が大好き。

病院の中にいると「与えられる」ことしかないのに対し、お店では「自分で選べる」から。

今日は何を食べようか、どのお店に入ろうか、何を買おうか、
自分で見て、聴いたり嗅いだりして、自分で決められる。

それがこんなに幸せなことだと知ったのは、今回の入院生活を経験してからだ。




デパートではいつもと同じようにフードコートで食事を楽しんで、
2~3店舗をフラフラと回った。

いつもと同じようにヤスとバカなやりとりをする私たちを見て、
友人は「てか、全然元気じゃん!」と笑った。



そこには、車いすも松葉杖も関係ない。


穏やかで、幸せな時間が流れていた。