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【 テーマ「かこ」について 】
「かこ」では、私が2008年9月に経験した交通事故について綴っています。
私自身がこの貴重な経験を忘れてしまいたくないから。
毎日毎日起こり続ける交通事故、そのひとつひとつ痛み・重みを
少しでも多くの人に知ってもらいたいから。
そしてこの経験を踏まえたうえで、
毎日を楽しんでいる人がいるんだということを知ってもらいたいから。
主観とエゴのかたまりかもしれませんが、
お付き合いいただけたら幸いです。
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初めての<歩行器なしで歩く>練習は、ほんの数メートルでヘトヘトになった。
少し休憩してから、S先生に「もう一周いってみる?」と聞かれ、からだは疲労でいっぱいだったけれど、「やりたい!」という気持ちが強かった私はもう1周することにした。
一歩一歩と、確かめるように足を出す。
2~3メートル進んだとき、ふっと力が力が入らなくなった。
カクンっ。
「危ない!!」
右足の力が抜けてしまったのだ。
一瞬何が起きたかわからなかったけれど、先生の腕を掴んでいたので、倒れこまずに済んだ。
床についたふくらはぎが冷たい。
床に触れたのは、事故後初めてのことだった。
「えへ。転んじゃったぁ。」
笑って軽く言う私に対して、いつも冗談ばかり言っているS先生が初めて真剣な表情を見せた。
「大丈夫?」と先生に声をかけられ、私は「大丈夫です」と即答する。
まだ膝をついた状態からはひとりでは立ち上がれないので、ゆっくりゆっくり、先生に掴まって立ち上がった。
少し休もう、と先生がベッドまで連れていってくれた。
S先生は真剣な面持ちのまま、「痛みはない?」と聞いた。
「痛みはないですよー。」
「痛みはない」という言葉と私のお気楽な笑顔にに、ようやく先生は安堵の表情を見せた。
さすがにその日はもう歩く練習はさせてくれなかったけれど、全く懲りてない私は次の日も積極的に歩く練習をした。
一歩、
一歩。