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【 テーマ「かこ」について 】
「かこ」では、私が2008年9月に経験した交通事故について綴っています。
私自身がこの貴重な経験を忘れてしまいたくないから。
毎日毎日起こり続ける交通事故、そのひとつひとつ痛み・重みを
少しでも多くの人に知ってもらいたいから。
そしてこの経験を踏まえたうえで、
毎日を楽しんでいる人がいるんだということを知ってもらいたいから。
主観とエゴのかたまりですが、お付き合いいただけたら幸いです。
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思わぬ激痛に襲われたこの日だったが、
それだけでは終わらなかった。
痛みもだいぶ落ち着いて、
夜ごはんはヤスと、ヤスのご両親と、看病に来てくれていた姉と一緒に談話室で食べた。
痛みと疲れからいつもより元気がでない。
それでもヤスのご両親が料理を作って持ってきてくれているし、
つらくても笑顔で「大丈夫」というのが私の性分なのだ。
そこで、思いがけない客人が来た。
事故の相手・Oさん夫婦だ。
「今日でちょうど1ヵ月ですね」と言ってお見舞いの品を差し出される。
ヤスのお母さんは明るく受け答えしているけれど、
この日の私はとてもそんな気分になれなかった。
正直、事故からちょうど1ヵ月だなんてこと、
痛みですっかり忘れていた。
何かのお祝いかのようにリボンのかかった果物の箱が恨めしかった。
私たちに頭を下げるOさんの口元が笑っているようにすら感じてしまった。
今思い返せばそんなことあるわけない、とわかるけれど、
少なくとも彼らの謝罪の気持ちが私に届かなかったのは事実だ。
ヤスのお母さんと少し会話をしたあと、
彼らは私と目を合わせるのでもなく、声をかけるのでもなく、
逃げるように帰って行った。
からだの痛みとこころの痛みで、
頭がよく回らない。
事故に遭って、こんなに苦しいと感じたのは初めてだった。