゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*
【 テーマ「かこ」について 】
「かこ」では、私が2008年9月に経験した交通事故について綴っています。
私自身がこの貴重な経験を忘れてしまいたくないから。
毎日毎日起こり続ける交通事故、そのひとつひとつ痛み・重みを
少しでも多くの人に知ってもらいたいから。
そしてこの経験を踏まえたうえで、
毎日を楽しんでいる人がいるんだということを知ってもらいたいから。
主観とエゴのかたまりですが、お付き合いいただけたら幸いです。
゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*
病院から外出先のデパートまでは徒歩約7,8分の距離。
けれど車いすを押して、段差を1つ1つ越えながらだと想像以上に時間がかかり、
デパートに着いたころには何時間も経ったかのような感覚だった。
目的地に着いて最初に向かったのは、フードコート。
食べることが大好きなヤスだけでなく、私も一緒に目を輝かせた。
アイスクリーム、ラーメン、丼ものやたこ焼き。
事故前には見向きもしていなかったお店だって、
今の私たちには超高級料理店のような気分。
設置されているイスをどけて、車いすでテーブルに近づく。
まだ車いす歴の浅い私は何度も切り返して、
ようやく納得のいく位置に入れた。
ヤスはから揚げ丼を頼み、私はラーメンを頼んだ。
母と兄が持ってきてくれた食事を口に運び、至福のひととき…となるはずが、
どうにもラーメンがうまく食べられない。
それもそのはず。
私の胴体はコルセットで固められていて、前傾することができない。
そのうえ左手はギブスをしているので、器を持ち上げることもできない。
試行錯誤しながら、なんとか口まで運べた。
けれどもう大変すぎて、一口で疲れてしまった。
ヤスがから揚げ丼を分けてくれようとしたけれど、
大腸が破裂した私はまだ揚げ物禁止令が出ていた。
食事を終えると、少し店内を回った。
自分で着る服を自分で選べるということがすごーく嬉しい!
すっかりテンションがあがった私は
ひとりでくるくると車いすを操作しながら洋服を物色する。
コルセットが少しでも目立たないように、白色の服ばかりを選んだ。
帰りには、サーティーワンでクレープを買った。
ミスドも食べたかったけど、これもまた揚げ物禁止令で断念。
帰ったらもうぐったりしてすぐにベッドで横になった。
はじめての冒険はほんの1~2時間。
短いけれど、大きな一歩を踏み出した冒険だった。