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【 テーマ「かこ」について 】


「かこ」では、私が2008年9月に経験した交通事故について綴っています。


 私自身がこの貴重な経験を忘れてしまいたくないから。


 毎日毎日起こり続ける交通事故、そのひとつひとつ痛み・重みを

 少しでも多くの人に知ってもらいたいから。


 そしてこの経験を踏まえたうえで、

 毎日を楽しんでいる人がいるんだということを知ってもらいたいから。



主観とエゴのかたまりですが、お付き合いいただけたら幸いです。


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はじめて車いすに乗った次の日、「外に出たんだよ」と話すと、

ヤスは「おれもまだ出てないのに!いいなぁ」と笑った。



はじめは事故に責任を感じ、

こっちが見ていられないくらい落ち込んでいた彼だったが、

次第に笑顔を取り戻しつつあった。


あとから聞いたところによると、私が何度も何度も

「全っ然あなたのせいじゃないんだよ。

 こうして一緒にいられるんだから、まぁ良かったじゃん」

と言っていたことで救われた、のだそうだ。






対向車に乗っていた夫婦との初対面は、そんな時期だった。




病院には何度か来ていたのだそうだけれど、

母を通じて、病室には入らないでくれと言ってあった。


憎かったからじゃない。


どんな顔をすればいいのかわからなかった。



身体がぼろぼろでも、私は毎日笑っていたし、

周りへの感謝の気持ちもいっぱいだった。


だから、対向車の運転手に会っても

「あ、どうもどうも。どうぞイスにおかけになってください。

 あ、何か飲みます?」

くらいなテンションで話してしまいそうな気がしていた。


けれどそれはさすがにおかしいし、「帰れ」と突き返すべきかとも考えたが、

それじゃあなんだか本当に<加害者>と<被害者>みたいだ、と思った。


自分は<被害者>なんだ、かわいそうなんだ、とは思いたくなかったのだ。


「これは運命だったんだ」と思うことで保たれている心が

<被害者>になった途端に、

「本当はこんな目に遭わなくてもすんだのに」と思った瞬間に、

崩れてしまいそうな気がした。




そんな葛藤から、事故のお相手には会わないようにしていたのだが、

運悪く母の不在中に病室に入ってきてしまった。



どうしよう。



私は頭が真っ白になってしまったので、

彼らが言った具体的な言葉は覚えていない。


ただ、私と目も合わせず、

形式的な謝罪の言葉を口にし、果物を置いてそそくさと帰って行った彼らは、

まるで何かから逃げているように見えた。



私は始終「はぁ。」と曖昧に答えるだけだった。