2度目の手術が終わり、ICUから一般病棟に戻ると、

ヤスの部屋が個室から4人部屋に変わっていた。


彼の術後からわずか1週間のことだ。


なぜかとメールで聞いてみたところ、

もうひとりで車イスに乗り移ることができるのだから個室から出なさい、

と看護師長に言われたそうだ。


けれど実際に彼はまだ1人で乗り移ることはできず、

看護師さんに介助してもらってやっと乗り移れる程度だった。



「でも、俺が出ないとフユが4人部屋になるよと言われたんだ」と彼が説明した。


そんな馬鹿な。だって私はまだ術後2日で起き上がるどころか自分で寝返りをうつことすらもできない。

明らかに彼に部屋移動をさせる口実だった。


ヤスは「それもわかっているよ。」と言った。

それでも、万が一にでも

自分のせいでフユが個室にいられなくなるなんてことにはなってほしくなかったのだ、と。


なぜひとりで歩いているおばあちゃんが個室にいて、

ひとりでは車イスに乗ることすらできないヤスが4人部屋なんだ、と納得しきれない気持ちもあったが、

仕方がない。


病院のベッドの数は限られていて、だけれど毎日新しい患者さんがやってくる。


仕方ないのだ、と自分に言い聞かせた。







9月も終盤に向かっていたが、本当に夏が終わるのかと疑問に思うくらい、毎日暑苦しかった。




2度目の手術から5日が経った頃、夜中眠れずに私はまたmixiで日記を書いた。






眠れなくて、日記でも書こうかと思い立ってみました。



今夜はありえない吐き気に襲われて、


吐き気止め打ってもらったのですが、


今度は眠れなくなっちゃったてわけです。









毎日毎日薬漬けな生活に嫌気がさしてきちゃう。



そんなに異物ばかり取り込んで大丈夫なの?と思うけど、

それを取り込まないほうが具合悪いんだもんね。



もう2週間も寝たきり生活のせいか、


筋肉が落ちて、腕足が細くなってきました。


不健康ダイエット(´Д`)




でも、早ければ月曜日には私も車イスデビューできるそうです!



早く体を動かしたいな♪









この頃、つらいことがなかったと言えば嘘になる。




けれどやっぱり毎日幸せで、毎日笑っていたという私の姿も嘘じゃなかった。






今日はおかゆが食べられるようになった。


管が一本はずれた。


今日は5分粥から7分粥になった。


ヤスが車イスに乗って遊びに来てくれた。


首が少しだけ持ち上がるようになった。


髪を洗ってもらえた。


看護師さんがおもしろい話をしてくれた。


ヤスのお兄さんがお見舞いに来てくれた。




数え上げていたらキリがないくらい、私は毎日<幸せ>に囲まれていた。



そして何より、ヤスがいる。


家族がいる。


心配してくれる友達がいる。




私は幸せ者だ。