舞踊会に行く | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。

本日は、

藤蔭流の舞踊会に行って来た。

「三代目藤蔭静樹襲名、二代目藤蔭静樹三回忌追善」の舞踊会である。

何年か前に、きっとたぶん二代目の方の踊りを拝見した気がするのですが・・・。そうなんだ。

次世代へと継承されていたのですね。


以前、お囃子のお稽古場でご一緒していた方のご案内で応援に伺わさせていただいた。

歳はうーんと下のですが、数か月先輩の方である。

中学生時代からの知り合いであるが、すっかり青年に変身♪高校を卒業されて舞踊家の道に進まれて、本当に彼の成長が身内の者が如く楽しみである。

きっとたぶんプロの世界というのはどの世界でも同様であろうが、日々が山あり谷ありであろう。

何事にも負けずに己の目標に向かって、ただただ無心に頑張って欲しい。

三年前。大震災のあとの寒々とした国立劇場で彼の『浅妻船』を拝見した。あの時も立派で素敵だったけれど、今度は立ち役。どんな感じに成長しているか楽しみで伺った。

「ちゃんと男で踊れたか不安」と楽屋に伺った時に仰っていましたが、きちっと男性だったですよ。

江戸前で鯔背な二枚目。さわやか系の頭でした。

『俄獅子』の舞踊を生で拝見するのは初めてです。以前、この曲を題材にした新作ものは拝見した事があるのですが・・・。

十月に紀尾井ホールで演奏する予定。と言う事で本当に勉強になりました。

物事には理由がある。どうしてこういうお囃子が付いているとかね^^

またまた、私のように想像力の乏しい人間は、舞踊とか観て初めてどういう曲かを知るのですよ。

何せちょっと前まで、

「俄」は夏の行事なのに、私はずっと冬の催し、お正月の催しと思い込んでいました。

そんなアバウトな人間です。本当に舞踊を拝見できて良かったです。ありがとうございました。

そうそう、お囃子には師匠がご出演でした。素の演奏と舞踊ではやはり違うのですね。

「狂い」の冒頭、素だと屋台の頭だけですが、立ち方が準備する繋ぎなので、屋台を一杯打たれていました。カッコいい♪


その他にも七曲拝見して家路に着きました。まだまだ拝見したかったのですが・・・自らの練習が・・・。とにかく課題山積みなので・・・とっても残念でした。

気が付いた事幾つかです。

ある曲で、鯔背な船頭さんが主人公の曲を踊られた方がおりました。

たぶん、けっこう活気のある元気な奥様なのでしょう。何気に一つ一つの行動に荒々しさを感じました。

被っていた手ぬぐいを取る際に、かつらの一部に引っかかってしまい・・・それをあろうことか力付くで外していました。

床山さんが見ていたら、ハラハラドキドキですね。

かつらは借り物ですからね。。。

もし、これが時代劇の映画の現場だったら、床山さんなり結髪さんに怒られています。いやいや、すぐに怒られなくても、次回から意地悪されます。(かつらを粗末に扱う奴は成敗されるのですよ)

そして、最後に、なるべくしてなりましたね。傘を粋に開いて決まって終わりの場面なのですが、その傘が力付くで開かれたもので壊れてしまって・・・。

場内から「かわいそう」という声があちらこちらから漏れていましたが・・・私はなるべくしてなったと思いました。

何もかも強引はいけないのです。

これは、ずっと昔の女優時代に気づいた鉄則なんですがね、

映画・テレビの現場はそれぞれプロの職分によって構成されている世界。衣裳さんにとっては衣裳は命、床山(結髪)さんにとってかつらは命なのですよ。それを肝に銘じて身につけさせていただかないといけないのですね。とにかく感謝、感謝。各部門の職分の方の命によって演じるものは最高の演技を導かれるのです。

たぶん、この気持ちは舞台でも、こういった舞踊の世界でも通ずる鉄則ではないでしょうか。


もう一点は、演目は自分の身体能力を考えて選択するべきと思いました。

よく、子どもの定番の曲を還暦や喜寿のお祝いに選曲する事がありますね。例えば『羽根の禿』とか。

しかし、そもそもが荒事が題材の曲は、いくら子どもの定番の曲であっても難しいかなと思った。

ご本人は200%頑張っていらっしゃいましたが、観客の目には20%の頑張りしか見えないのですね。

上手い下手ではなくて、選曲ミスというのはお金が大変もったいないなぁと思いました。

そうそう、舞踊に限らず何でもそうだと思います。

私自身も気を付けないと

「年寄りの冷や水」という曲を選曲して舞台に出しちゃうという危険性があります。

日々訓練していても、身体能力というのはどんどん衰えるものなんですよね。

それを超えて、今度は味に走らないといけないのですが、なかなかその切り替えが難しいです。


八曲しか拝見できませんでしたが、とても充実した時間を過ごせました。

舞台上には、師匠の他に知人が地方にご出演。

「最近、清元の〇○さんを見ないけれど元気かしら?」

母の知人の〇○さんもしっかりお仕事されていました。お元気でしたよ♪