藤舎囃子研究会 | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。

今年は、怪我ばかりの一年で演奏会や舞踊会に行く機会がめっきり少なかったです。
今年の聴き収めは、藤舎流のお家元主催の演奏会。二年に一度開催する演奏会。いつもは国立小劇場で開催されるのですが、今年は紀尾井ホールでした。

今回のお囃子研究会は変わったプログラムで、初体験の曲が多いので楽しみでした。

『七福神』
この曲は、よくご祝儀曲で出ますよね。何かの記念演奏会で歌舞伎の誰々がご祝儀で踊られる。つまり、いつも踊りつきなんですが、こうして演奏だけで拝聴するのは初めてです。
今ある長唄の中で一番古い曲とされていますが、かび臭さを感じない素敵な曲だと思います。
コミカルで明るくて、またまたのんびりした感じで私はこの曲好きです。

『四季の花里』
我が師匠が出演のプログラムでした。
現在私は、この曲の太鼓をお稽古しています。この曲をお稽古するまで、この曲はお囃子の入らない長唄だと思っていました。
中盤にとっても綺麗な三味線の合方が入ります。繊細でクリアな空気、透明感ある背景が目に浮かぶような合方。この合方に大小鼓が入る事で自然の力強さが加わるというか、自然の体温を感じるというか、雰囲気変わりますね。
そうそう、写真と動画の違いという感じかしら。本当にお囃子の効果って面白いです。
そうそう、屋台が習ったバージョンと違っていました。たぶん、寸法がお稽古で使っている音よりも寸法が短いのではないでしょうか?そんな気がしました。

『一人椀久』
以前
この曲を拝聴した時は、お囃子が入らなかったためか、
真っ暗な辛気臭い曲というイメージがありました。まあ、演奏された方も違いますので、曲の解釈が違うのかもですが、、、
辛気臭い曲は好きではないので、あまり興味の無かった曲なんですが・・・
幕が開いて、本当に吃驚です。けっこう面白い曲じゃないですか。いつかこんな曲の小鼓を打てるようになりたいものです。

『由縁の月』
めりやすの曲ですね。『黒髪』とか『寿』とか、その手の部類ですね。
めりやすは、
おいらんが、この手の三味線の曲を聞いて「気がめいりやんす」と言ったのが「めりやす」の語源と聞いた事がありますが・・・、この曲も真っ暗でした。
気にそぐわぬ人に身請けされる遊女。大好きなあの人への気持ちを断ち切る心情を唄ったものだそうです。
あれ???
先週、最終回を迎えた『JIN-仁-』の野風が仁に寄せる思いに似ているなぁ。(あっ、ドラマ知らない方・・・すみません)

『二人椀久』
杵屋勝国氏の三味線を久々に拝聴しましたが、端切れよく本当に素晴らしい演奏家さんだ。
長唄三味線方さんには、勝国氏のような糸と皮を撥で打つ事によって発する音のコラポレーションを魅せるタイプの方と、私の師匠のお父様のように糸の音締を追求し、繊細な旋律を魅せるタイプの演奏家さんがいらっしゃいますね。

勝国氏の三味線は本当にすっきり爽やか。また華やかで大好きです。
唄は杵屋直吉氏。この方はこういった曲を唄わせるとNOワンですよね。声に色気があるといいますか、本当にうっとりです。
しかし、今日は何か全体の呼吸の乱れを感じました。うーん、素敵だったのですが、、、ちょっと残念。

『蝉』
日本舞踊公演「冬夏会(尾上菊之丞氏主宰)」の為に作曲された曲だそうです。平成十四年に上演された作品。
竹田真砂子氏作。藤舎呂船作調。東音浅見文子節付。
蝉の姿を借りて命のあり方、生命の継続がテーマとか・・・。
唄のみ。あとはお囃子&雅楽の笙と排簫(はいしょう:正倉院収蔵の笛を復元したもの)・石笛・竜笛のコラボ。
とっても不思議。哲学的な曲想でした。
しかし、古代というのは宇宙への信号音の旋律に似ているんですかね。
排簫の奏でた旋律なんですが、どこかで聴いたような・・・。あっ、映画の「未知との遭遇」だっけ?
あと、何かの映画で宇宙とのコンタクトに音を使うという場面で使った音の組み合わせの音に似ているような。
現代の文明社会において、宇宙は遠い世界ですが
もしかして、平安時代とかそういった時代において宇宙はもっと身近な世界だったのかもです。なんて、SFチックな妄想が・・・
不思議な曲でした。

健康第一ですね。
来年は、もっともっと色々な長唄・邦楽に出会いたいな♪


そうそう、来年二月二十六日にある真しほ会のお知らせがプログラムに入っていました。
真しほ会も毎年よい演奏を聞かせてくれる会です。
もしご興味ある方はぜひ♪
右のお勧め演奏会の欄にチラシを掲載してみました。