100歳の少年と12通の手紙 | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。

100歳の少年と12通の手紙 [DVD] 100歳の少年と12通の手紙 [DVD]
(2011/04/06)
ミシェル・ラロック、アミール 他

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小児病棟の子どもたちというのはどこか大人びている。
きっと、病院という特殊な世界で生と死を見つめて、病と懸命に闘っているからなのでしょうか。
人間というのは不思議なもので、告知を受けていなくても何気に自分の死期というのは感じている。
ターミナル期の患者さん。告知を受けていなくても、けっこう「もう長くないな」って・・・ほとんどの方は感じているみたいですよ。
あなたにとって死ってどういうものですか?
未知の世界。だから怖い。いやいや、漠然と怖いだけかも知れない。
死ぬときって、痛いのかな、苦しいのかな?
死って楽しいものなんて思っている人いないですよね。

自分が死ぬと分かった時、人間って独特な反応を示す。人は「否定」「怒り」「取引」「抑うつ」という過程を行ったり来たりしながら「受容」していくのだそうです。
「否定」
そんな馬鹿な。私が死ぬなんてウソでしょ。
何かの間違いに違いない。
誤診に決まっているから、違う病院でもう一度調べてもらおう。等々
「怒り」
自分が病気になったのはあなたのせい。
死んでいく自分の気持ちなんて、あんたらに分からんだろう。
死期を知ると、ある時から突然攻撃的な態度に変身することがよく見受けられる。
家族・恋人・友人、医療従事者などに八つ当たりなくらいに攻撃的になる。
死の受容に向けての心の反応とは分かっているけれど、関わり方が難しいというか・・・
周りも精神的につらくなる時期ですよね。
「取引」
ある時、怒ってばかりいても仕方がないことに気が付く。そして、神様に「もう二度とお酒を飲まないから命をとらないでくれ」と頼むようになるんですね。
そして「抑うつ」。
「もう二度とお酒を飲まないから病気を治してほしい」と願っても、それが叶わぬ願いと気が付く。
なんてこったい・・・・
真っ暗な部屋の片隅でじった膝を抱えて固まっている。
誰の声も届かず、ただ黙々と時間が経っていく。
でもね、黙々としていても仕方がないことに気が付いてやっと死を受容するんだよね。

周りは、常に旅立とうという人の支えになるべく、冷静かつ包容力にあふれた態度が必要。
とは思うけれど、
自分の子供の死を受け止めるにはかなりの時間が必要だと思われる。

この映画のケース。主人公は幼いながらも懸命に死を受容している。
けれど、周りの大人たちは彼よりも彼の死の受容が遅れているんですよね。
だから、彼の死から逃避しようとする。大人はみんな逃げて、彼に背を向けている。
寂しいですよね。そんな寂しい日々にまっすぐ自分を見てくれる大人の女性に出会う。
・・・
・・・
心が綺麗に洗濯される映画。

そして、もし身近な子供が死に直面する病気になっても、
絶対に目をそむけずに、子どもと共に死を見つめ、子ども自身から目を離さないことが大切だと思いました。


久しぶりのフランス映画でした。