名取って | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。

もともとお稽古していた長唄の流派でもそうなんですけれど、『名取』ってけっこう早い時期になれるものです。
お名前があると、上手な人とかそういったイメージが強くあるんですけれど、実は名前のある方でも、その技術のレベルの格差はすごいものがあります。

けれど、お名前がある以上これくらいは出来て欲しいという、観客としての期待というものがあります。

三味線ってけっこうデリケートで、一度調弦しても演奏中にどんどん調子が変になってくるものです。これは、糸が伸びてしまう為です。
特に、新しいものほど良く伸びます。
お浚いなどの舞台では、新しい糸をかけますので、演奏中にどんどん伸びてくる。それが故に調子が狂ってくるのです。
・・・
そんなら、古い糸を
・・・
そういう訳にはいかないですよね。
古い糸は音も悪いし、切れやすいし。
舞台上で糸が切れるというのは、あまり褒められたものではありません。

普通、プレーヤーは音に常に注意を払って、調弦に神経を尖らせるものです。
演奏中に糸が伸びて、調子が狂ったら曲を演奏しながら調子を直していくものです。
なかなか、これは熟練した耳が必要なので大変とは思いますが、お名取ならばそれくらいは出来なければならないと私は思います。

あるお浚い会に行った時にちょっと吃驚した背景がありました。
長唄は途中で調子が変わったりする事があるのですが、あろうことか全部後見の方が調子を直しているのです。
ちょっと。。。どころかだいぶ吃驚。
演奏者は一度たりともネジに手が行かない。。。
はじめたての方なら。。。いやいや、普通ないですよね。
プログラムを見たら『お名取』の方で尚いっそう吃驚しちゃいました。

どうして???
この人は三味線の調子が合わせられないのだろうか?
まさかね。。。
いろいろ考えたけれど、よくわからなかった。
とっても不思議。。。