矢口さんは勝手に会社の代表として
火野さんの病院へお見舞いに行ってたの
まだ世間はコロナのコの字もない時代。
「お見舞いに行ってきちゃった
」
と矢口さんから聞かされた時は不安になったよ。
だって面会時間は限られてるのよ。
家族と鉢合わせたらどうするつもりなの？
「大丈夫
家族が不在の時間を火野さんに事前に教えて貰って行ったから
」
それにしても…
「それにね、病気平癒のご祈祷もしてもらって御札と御守りを置いてきたんだ
」
ご、ご祈祷！？神社で？
「うん。1番高いご祈祷をお願いしてね
」
どれだけ、好きなのよ
んっ！？
（いや、ちょっと待て🫸待たれぇーい🫸）
病室に飾ってきたの？
「うん」
家族はどんな反応するのよ。
聞いたことないよ!
会社で病気回復を願い
ご祈祷、御札＆御守を
もれなくプレゼント
なんて!
どう考えても奥さん、怪しむでしょうよ
「大丈夫だって」
その自信はどこから来るんだよ？
ちなみにご祈祷を受けた神社のホームページを見たら
一番高いご祈祷で出される御札、かなりご立派
威圧感バリバリの御札を、枕元に飾ってる火野さんを想像したら…
ご利益はあるだろうけど、ちょっと違うんじゃないか?
命にかかわる病気で入院してるわけじゃないけど、火野さん、大丈夫かしら?
「俺って、本当は重病なのか?」と勘違いしないかな?
後日、火野さんから
「奥さんから御礼の電話が会社に行くから
口裏合わせておいて欲しい」と矢口さんに連絡。
たまたま奥さんから電話を受けたのが私でよかったよ